小売り市場の景況感

2014/09/18
8月の景況感アンテナ

8月前半の売り上げはひどいものであった。ともかく客がこない。ぽつんぽつんと電池交換や時計バンドの買い替えがある程度で、モノが売れない。
30年以上商売をしていて平時でははじめての経験。後半少々盛り返したが、さえない一か月であった。
そこそこ順調であった宝飾品もだめ、腕時計は4月からだめ、何が問題か悩んでいたら、経済成長率の大きな落ち込みが発表されて合点がいった。
震災後の三か月が6.9%の減少なのに今回の増税後三か月が6.8%(7.1%にその後修正)の減少。
これでは震災に二度あったようなものでいかんともしがたい。沿岸近くを流れていた黒潮の流れが沖合遠くに変化したようなものであろう。
仕入を控えて今の商品の演出を変化させてしのぐことしか思い浮かばない。資金繰りも苦しくなってきた。眠りの浅い日々が続きそうである。  (N)
2014/08/13
7月の景況感アンテナ

7月は前半15日までは低調ながらなんとか売り上げの数字を作ったが、後半は客数そのものが大きく減少してしまった。このことは自分の店が入っているSCでも同じような現象が起きているので、消費全般のいささかの変調ではないかと考えている。
政府やメディアの伝える消費の流れよりもはるかに悪いのが現実である。8%消費税生活がいかなるものか、消費者が冷静に見つめはじめた結果かもしれない。ただこの状態のまま推移するとも思えないので今後に備えて、店の保守点検に精をだしている。
振り返るとやはり夏の商戦は6月中盤から7月前半であることがわかる。梅雨があけたら夏物は売れないのである。人の心理とはそういうものであろう。秋商戦は水面下ですでに始まっている。(N)
2014/08/13
6月の景況感アンテナ

6月は昨年比で20%程売り上げが落ちた。腕時計は相変わらず低迷したままで、加えてジュエリーもさえない展開であった。3月の駆け込み売り上げの反動はこの6月かという感じではあった。夏の賞与をあてにして中盤にジュエリーのDMをだしたが、タイミングが早すぎたのかどうか、反応は限られたものであった。
夏の商戦には、“夏物商戦”という意味合いと“賞与商戦”の2面がある。今回は「夏物商戦」を意識して低価格のジュエリーを前面に打ち出したが、この場合は数量が出ないと意味をなさない。3万円以下で勝負したが、うまくいかなかった。消費者の心をつかむのはむずかしい。
なぜか腕時計の売り上げが4,5,6月と売り上げ、数量とも前年を下回っている。さりとて打つべき手がみえてこない。先行きが心配である。(N)
2014/08/13
5月の景況感アンテナ

 今年の5月は、昨年に比べて宝飾品の売り上げと修理の売り上げが伸びた。両部門とも数量では若干だが減少している。単価が上昇したことは、ありがたいことだが、経営的には不安定さが増したことを意味している。
 ジュエリーリフォーム(修理)の高単価の受注が際立つが、偶然的なものか、持続的なものかは今一つはっきりしない。腕時計は、4月に引き続き低迷したままである。時計バンドも売り上げ、数量とも減少している。
 消費税8%生活に対する防衛意識を持つ層と、そのことをあまり意識しない層がいて、その後者の層の取り込みが売り上げを左右している。仕入れ先の話は、5月は苦しいという方が多い。そお苦戦がマーケット全体の平均値だとして、では小売店はどうするのか、今何しておかなければならないのか。
 夏の賞与は期待できるとメディアは報じているが、マクロの話題を漠然とした楽観論で考えていては、ビジスチャンスの前髪はつかめない。(N)
2014/08/13
4月の景況感アンテナ

 駆け込み需要の反動減を身構えていた4月は、前半はともかく月トータルで見ると売り上げの減少は思ったほどでもなかった。
3月で受けた修理の受け渡しで、修理部門は前年比で大幅に伸ばしたし、宝飾品の減少も小幅にとどまった。
腕時計の売り上げが個数ともに落ち込んだ。これは時計という商材自体からくるものであろう。宝飾品は、一人の女性が身に着けるアイテムが多いため、マーケットの間口が広い。そのことが売り上げを下支えしたと思われる。
消費税前哨戦は、前と後のワンセットで考えるものだが、前で取り込まないと増税後の反動減だけをかぶってしまう。この商戦の難しいところである。
政府やメディアは、先行きについて楽観的な予測をしているが、セブン&アイの鈴木会長は「8%消費税生活に慣れて平時の消費活動に戻るかどころかは、6月まではわからない」と言っている。現場と接している人の方が慎重である。(N)
2014/08/13
3月の景況感アンテナ

 17年ぶりの消費増税前の商戦を迎えるに当たって、私なりの予測は「もしも売れるならば高額なものが売れるだろう」と思っていたが、2月の商売の流れからみて楽観的にはなれなかった。が3月になると動きが出てきた。
 前半は、DMを出したお客さんで売り上げを作ることができた。予測通り、客単価は上がった。DM効果が一巡したあと、同じ内容の広告をタウン誌に掲載したが、こちらはほとんど反応なし。そのため月の中盤は、中だるみではあったが、その辺からウオッチが売れ始めた。月末の5日間は大忙しで、駆け込みバブルの感があった。
 結局3月は、業者催事を除けば、月の売り上げとしては、ここ数年ないような数字になった。私の店が入っているビルの化粧品売り場も、紳士服やメガネの専門店も、3月は昨年同月比で倍ぐらい売れている。国民性なのだろうが、全体が動くと普段冷静な人も浮き足立ってしまう。 
 その騒動を新聞やテレビが報じると、それが更に輪をかけて、全体の動きが加速する。頭では分かっているのだが、体が動いてしまうというか、根っこには、みんなと一緒だと安心する心理が強く働いているのだろう。「分かりやすい国民だね」と誰かがつぶやいていた。(N)
2014/08/13
2014年2月の景況感アンテナ

消費増税前の3月に期待を

 2月の売り上げは、昨年と比べて大幅にダウン。例年行ってきた真珠の業者催事を都合により取りやめたことが大きい。
 けれども今年の大雪が土・日がらみで降ったことを考えると、催事を行っても思うような数字を採れたかどうかは、極めて疑問。大赤字だったかもしれない。「ケガの功名」というべきか、催事見送りは正解だったという考えも成り立つ。
 それにしてもあの大雪には参った。お客さんの関心が、長靴とスコップと食料品に向いてしまっている間は手の打ちようがない。
 ただ2月全体を通してみると、やはり真珠の売り上げに消費増税前の駆け込み買いの兆候を見ることができる。この動きが大きくなってくることを願っているが、どうだろう。
 新聞の経済面に最近、何年「ぶり」に、00年「以来」、統計を取って「初めて」など、「ぶり、以来、初めて」の見出しをよく見ることになった。その内容がプラスの事柄であれ、マイナスの事柄であれ、そこに今の時代の変化を見ることができる。
 そこのところの記事を丹念に読むだけでもずいぶんと為になる。消費税増税は17年「ぶり」である。流通業界はみな走り出している。3月に期待が膨らむが、仕掛けは知恵を絞らなければならない。(N)
2014/08/13
2014年1月の景況感アンテナ

 1月は大体苦戦する月である。そこで今年は、前半勝負にかけてDMセールを仕掛けて所反応が良かった。御蔭で後半の予想通りの落ち込みを補って、前年比売り上げプラスに持ち込めた。年初の幾らか華やいだ気分を上手く取り込めないかという問題意識が売上げに結びついた。
 何事によらず普段と少し変わったことはリスクもあるが「美味しい果実」もある。DMコストを惜しんで待ち身でいたら恐らく前年割れだったろう。
 そしてこれからいよいよ17年ぶりの消費税増税前商戦が始る。この商戦はメディアがあおってくれるから、その流れに沿っていけばいいのだが、すべての業種にプラスに作用するわけではない。今のうちに買っておいた方が良いと消費者が思う商品が中心になる。
 時計や宝飾品は該当するのだが、その上でどこを押さえるのか、経営者のセンスが試される。17年前は真珠が良く売れたが、今回はどうか、1月から2月にかけての消費者の購買動向を注意深く観察しながら、品揃えと演出を修正していかなくてはならない。(N)
2014/08/13
2013年12月の景況感アンテナ

 昨年12月の店全体の売り上げは、前年比を上回ったが、宝飾品はほぼ横ばい。決して喜ばしい感じではない。ボーナスやクリスマスの需要を取り込めたという感触がない。高単価の商品が、少し動いた程度である。
 では先行きへの手応えという点ではどうかというと、前年よりは確かである。その辺りが微妙なのである。メディアが報じている消費の回復、好調感はその通りだろうが、どの店にもまんべんなく、その流れが来ているのではない。偏りが随分とあると思われる。
 4℃宝飾店は、2013年3〜11月既存店ベースで6%増の売上高を記録している。「平均価格帯を従来の倍近い8万〜9万円に設定したネックレスなどの売れ行きが良かった」という。
百貨店も年末年始の宝飾、美術品の売上げは好調だと伝えられている。これらの事実から若い人の層や高所得者層の動きに捕らわれすぎると、自体を間違える。目の前の消費者の変化に敏感であり続けること。その基本に忠実なスタンスこそ、景気回復の果実を得る唯一の手段である。(N)
2014/08/13
2013年11月の景況感アンテナ

11月は毎年苦戦する月で、年金の支給月でもなく、ジュエリーの場合だったら催事でも仕掛けないと売り上げが作れない。今年は10月の落ち込みもあって身構えていたが、前半は比較的単価の高い商品が動いてまずますの売り上げだった。が、勢いは続かず中盤から後半は、惨憺たるたるもので締めてみると辛うじて昨年を上回ったに過ぎない。
冬のボーナスはバブル時に匹敵する伸びが予想され、株式も日経平均は11月28日の終値で15,727円と6年ぶりの高値となった。百貨店では高級時計、ジュエリー、美術品が相変わらず売れていると報じられている。一方で、総務省が11月に発表した7〜9月期の労働力調査によると、非正規雇用で働く人は1908万人となり過去最高を更新した。
温かい風と冷たい風が入り混じった景気状況の中で、小売店はどう舵取りをしていくか、経営者の手腕が問われている。参考になるのがコンビニの100円コーヒー。既に7億杯を売り上げ、そのうち4.5億杯がセブンイレブンで売られている。消費者の変化に常に注目していくことが、温かい風をつかまえる最初の一歩である。(N)
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