漢字の中に「女へん」が200文字ほどあるのに、「男へん」が1つもない。何か不思議な気分でもあるし、当然の理である、と納得してしまう瞬間もある。そこで「女も男もアイコでしょ」と、それ以上の他意も、それ以外の思惑もなく、第1弾を発表させて頂いたが、まあ、あっちからこっちからそっちから、ああでもないこうでもないそうでもない、よくやった、なに考えてんのよ、メールの拳と拍手がきた。イラストを描いてくれた佐川能智くんは、居酒屋で3人の女友達にからまれ、あやうくブン殴られそうになった。私は私で、おまえは國学院出だろうに、なぜ大切な漢字をブッ壊すんだ、と先輩にどやされビールを浴びるほどお飲み頂き謝り倒した。でもコリずにやります。男にゴメン。女性にスマン。できれば笑って酒に流してほしい。 | ||||
女の一生は愛情の歴史である。他の国の先達がこうおっしゃった。いいなあ。美しいなあ。そう思うと同時に、じゃあ男の一生はなんだ、と考え、ふと筆が止まる。筆が止まる理由は2つある。1つはカミさんのことを考えたからだ。確かに子供を愛している。花を愛し、飼い犬を愛し、金魚を愛し、趣味を愛している。なによりも自分を愛している、なるほど愛情の歴史だ。だが、私のことはどうだ。私に対する愛情はどうなっているのだ。うむ、もはや彼女の歴史の外に放り出されているのか。ま、いいか。せめてよその旦那を愛したりしなければ、それでいいか。いや待て。時どき不審な電話がある。 takano@adventures.co.jp
高野耕一 |
||||