たかが時計、されど時計

大都市のトレンディスポットといわれるところでは、依然として内外の有名ブランドショップが華やかさを競いあっている。昨今の市況からすれば、いささかの虚しさを感じないわけでもないが、だからこそのガンバリともいえるのか。しかし、憧れのブランドが誰の手にも届くようになって、それを楽しみ、そしていま再びそれが憧れや夢に戻っていきつつあるというのが大方の実情ではないのだろうか。夏が過ぎれば、耳元に残るあの浜辺の眩しいほどの喧騒が、もはや手には届かないように。そうしたなか、消費者にとって時計とは?

 

「仕事などで必要」が65%、「ファッション」は43%

 


《時計をつける理由》 (複数回答)は、「仕事で必要」が65%、「習慣」が40%。これは、売る立場からは結構な数字かもしれないが、なんとも夢がない。一方、「ファッション」は43%、「ステータス」は8%となっており、それなりに楽しんでいる人もいるのだ。「価値があれば価格は惜しまない」(50代・会社員)、「必要な機能をオーダーして作りたい」(20代・学生)、さらに「時計は自分の美学にマッチするジュエリー」(30代・主婦)とくると、まだまだ時計も捨てたものではない。71%が「プレゼントしたり、されたり」「誕生日、記念日」が圧倒的<時計をプレゼントすること、されることは?それはどんな場合?>(「場合」は複数回答)では、71%が「ある」と答えている。時計は、機能やファッションだけでなく、プレゼント、それに伴なうコミニケーションツールとしても重要な役割を果たしているようだ。そういえば、かつて、中学校に入学したとき、社会人として会社勤めを始めたとき、人生の節目に時計は活躍したものだ。翻って、現在の活躍は「誕生日」60%、「記念日」63%と、社会的な節目というよりはパーソナルな要素が強い。「何年か毎に欲しくなる。人生のリズムの変わり目を時計で表現」(50代・会社役員)。たかが時計、されど時計――である。



時計美術宝飾新聞社調べ
 







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