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移り変わる展示会でなにを思う

2024/06/04(火)

 

「第28回神戸国際宝飾展」

 

値段、質、売り先で二極化する業界の未来に向けて何をするか

 

真珠の街神戸 で「第28回神戸国際宝飾展」が 開催され、3日間で13,674名(初日7 ,845名、2日目3,112名、3日目、2,717名)が来場し、成功裏に幕を閉じた。また、昨年度とはカウント方法を変更しているので、昨年度の数字は掲載しないが、出展社数は440社で減少していないとしている。

会場は3日間ともに来場者で賑わっていた。初日は通路が人で溢れまっすぐ歩けないほどの熱気を感じた。売上も真珠業者を中心に良かったというところもあったが、ソーシャルバイヤーや海外バイヤーに対応したところが中心で、その他は中古品が人気だった。全体的には賑わいあれど、売上には比例せず、単価が下がる傾向がみられ厳しいとの見解も聞かれた。円安や材料の高騰で今後が楽観視できない部分は心配要因ではあるが、それでも多くの出展社の顔色は悪くなかった。 

コロナに関係なく、ライブ販売が導入され、主なターゲットは様変わりした。既存の小売店による仕入れは皆無となり、海外バイヤーもしくはライブ販売が基本だ。それに加えてネット販売用商品が乱立。来場者はハンドメイドやアパレル、ネット販売業者など新規参入も多く多岐にわたるようになり、売れるものも様々で、その分チャンスが広がっているとも考えられる。真珠は神戸に限らず近年はよく売れるアイテムとなり、取扱業者も増えているがBtoBに特化した「ジャパンパールフェ ア」(6月開催)を海外に向けきちんと発信していることもプラス要因となっていることだろう。 

そもそも国内の展示会だけで運営できている出展者は何割いるのか。ライブ販売を取り込んだ出展社は除き、どれだけ潤っている出展者がいることだろうか。根本的に二次流通品を扱う出展社や海外業者の出展が増え続けており、売り先もライブ販売社を通して海外ヘ流れている上、増えている二次流通品を扱う企業も日本企業ばかりではない。 

これだけ流通からターゲットまで変わり、国内のジュエリー市場に大きく関わる企業が出ない展示会に変貌してしまった。その歴史を含めた良さや魅力も変化し、新たなジュエリーの見本市の形を作り始めている。これまでと同じようなルールや考え方による料金設定やサービスにも変化があってよいと思われる。  

もともと主催社のRX Japan㈱は、海外バイヤーやソーシャルバイヤーなど来場者を誘致することで出展社を引きつけ、厳しい状況でも出展料金を上げ、バランスを保ってきたが、今年はじめに辞めた元社員が海外バイヤーを展示会に誘致し、出展社から売上の数%を得るというような手法の商売が今後増えていくことが目に見えている。本来なら会場の隣で仕入会を開くのと同じように、主催者が止めるべきことのように思うが、売上が欲しい出展者は何も考えずに 数%ならすぐに払ってしまう。 そもそも主催者の役目はどこにあり、日本の宝飾産業として海外とのコミュニケーションは取れているのかなど、出展社は何も疑問に思わないのか。考えるべきことを他人に任せず、自分自身で切り開くということを、これからもこの業界で生きていく人は強く意識しておく必要があるだろう。主催者に出展料を払い商売するたびに更に税金を納めているような状態で本当に良いのか。考えないのはただの諦めでしかない。 

昔は強い日本の経済に乗っかり海外視察や交渉が行われ、日本のジュエリーが海外でも売れるような考えに基づき様々な試行錯誤が行われたが、現在はそんなことを考える人すらいない業界になってしまった。目の前の商売に集中しすぎ、業界や産業が進むべき道を見ようとしていないようだ。良くしようとする活動は薄っぺらになり、誰も関心を寄せず、気にしなくても影響を及ぼさないと勘違いする環境になってきてしまっている。資金がなければ動けないし人を派遣できないとの言い訳が聞こえてきそうだが、数年後には更に悪化していることが推測され、潤っている業者が増えていることは想像できないのが現状であれば、1日でも早く行動を移すことがどの企業においても存続するための方法ではないだろうか。本来自分たちが目指す商売はなんであったか思い出してみてはいかがだろうか。そして変えることはひとつの企業では無理なのだから、共同・協力するために業界で仲良くするしかないのである。来年のIJKは、2025515日~ 17日に開催される。

https://www.ijt.jp/kobe/ja-jp.html

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