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揺れるラボグロウンから学ぶ差別化すべきコトとモノ

2024/05/04(土)

 

米国宝石貿易協会が主催する2025年のAGTAジェムフェ

 

米国宝石貿易協会(AGTA)が、同協会が主催する2025年のAGTAジェムフェアツーソンから、ラボグロウン宝石によるルースとそれを含むジュエリーの展示を禁止した。AGTAのディーラーに対しては、「自社の方針でラボグロウンの宝石を販売することは、その情報が開示されている限り全く問題ない」と前置きした上で、AGTAに参加するバイヤーに対しては、「地球から採掘された天然宝石だけを購入できる場であることを保証できる。希少で美しく、天然の優れた宝石を調達することに誇りを持っている。明確さと安心のためだ」と説明した。ちなみにAGTAのラボグロウン宝石に対する考えは、GIAの定義を認識しているとするが、英国地質調査所と米 国地質調査所の鉱物の定義を引用し、「鉱物は天然であることが求められる」と述べている。  

ラボグロウンの宝石の価格推移については日本では話題となるが、世界では一歩先を行く市場競争が絡んだ視点による話題が溢れている。ラボグロウンの宝石の世界最大の生産国と製造国になるのはインドであり、主要マーケットは米国のみならず欧州にも広がりを見せ始めており、その可能性を示している。それは流通の面ではなく、あらゆるブランドがラボグロウンの宝石を活用し、新たな需要を生み始めたことで、天然ダイヤモンドとの明確な棲み分けが一歩ずつ進み始めたと言えよう。 

Rapaportで指摘されるように、ラボグロウンの宝石の可能性は未知数であるが、日本市場で考えなければならないのは、宝石とジュエリーの本当の価値を見出すことではないだろうか。ラボグロウンの宝石に対しての見解は出ているものの、それよりも昔から課題となっている「新品の定義」や「中古の価値」、「色の処置に関する情報開示」、「職人の手当て」など考えるべきことはたくさんあるのに、そんな大切な課題が産業として話題に上がらないことが問題なのである。そこに明確な答えを持たないでいるので、国内の宝飾見本市においてもカテゴリーひとつにも拘りを持てず、来場者に対する愛情が足りないのである。  まさに衰退産業と言わざるを得ないのは悲しいことだ。きっと「そこそこ売れているから」と気にしていない人の方が多いと思われるが、そこからチャンスを逃しているのに気づきたい。そして未来を見据えた企業と現在を生きる企業との差は着実に広がっていってしまうのである。

明確にわかるのはインターナショナルブランドの戦略で、簡単に言えば持続可能なプロモーションで着実にファンを広げていくのと、ただ現在を生きているところには何も残らないのである。 

世界的に見ても厳しい市場競争が続いており、如何に自国に利益をもたらすかが各ブランドの最大の課題になっている。そのための莫大な投資がブランドには掛かっているのだ。普通の状況では太刀打ちできない大きな差があるものの、この混とんとした状況と変革する社会においては、最大のチャンスかもしれないのだ。今こそモノや人に着目した正義ある商売に目を向けていきたい。

https://agta.org/welcome/

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