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世代交代とは継承を考えることである

2024/06/04(火)

 

世の中はすでに先を行っている

 

コロナが明け従来のような新作発 表会や仕入会、大型展示会などで日々が戻り、売上も決して悪くはないスタートを切ったが、今年の前半戦を折り返す前にその勢いが失速しつつあるとの声が広がり始めている。

 円安と材料高騰の影響も大きいが、コロナが明けた消費スタイルと価値観の大きな変化により、市場のターゲット層は年齢層が一気に下がり、新しい販売スタイルが導入され、消費者との接点が広がった。DXIT の導入が遅れている宝飾業界は、ターゲットが高齢者や富裕層だからと安心はできない。何故ならDXITに先行投資した企業や新規参入してきた企業が徐々に力をつけてきたからである。

 国内市場を動かす年齢層も市場に合わせ若返っている。一昔であれば新しいビジネスのためのセミナーが少なからず開催されていたと記憶する。現在は大型展示会でのセミナーは元々他産業に比べ少なかった にも関わらず更に数が減っており、根本的な学びの場が無いことから全体的な知識レベルの低下も懸念されるほどだ。

根本的な原因を考えると、世代交代の遅れが理由ではないかと思われる。 既にAI時代に入りIT業界も安泰ではないようだ。重宝されたクリエイターたちもクリエイトしているだけではなくビ諏訪恭一氏による特別講座が 73日日本宝飾クラフト学院で実施 先着 12 6 10 日 時の記念日ジネスセンスも問われ始め、ものすごいスピードで進化している。IT業界も1% だけが勝ち組となり99%が負け組となる世界に向かっていると考える第一人者がいるぐらい業界動向について日々議論されている。それだけ価値ある産業だと言え、進化していく過程で必要なのは議論である。

 宝飾産業は長年苦しむ百貨店を中心にビジネスが最近まで進められてきたことで、人と物の流れが鈍り続け、新しい議論が足りていない。その為に様々な時代の変化があったにも関わらず変化を恐れ、新しい取り組みが遅れた。それに伴い業界の中心にいる人たちも大きく変わっていないために、現状に満足してしまう環境が形成され、さらに気づくべきことに自ら目を瞑ってしまったような状態が続いている。

  5月には根岸組合の解散が発表された。業界の中心で働く人材の高齢化は今に始まった訳では無いが、それを止めるような議論はコロナを理由に話題にも上らなくなった。その他の組合や団体も同じ高齢化を辿っており、昔のように機能しているとは言い難く、これからさらなる縮小が待っている。

 このままでは宝飾産業の世代交代は大きな課題として続くだろうが、世の中はすでに世代交代ではなく、如何に自分が生きさせてもらった産業に悪影響を与えずに廃業するかを考え始めている。言い換えれば、どのように次世代に継承するかということで、世代交代するのに必ず考えておく必要がある大事な内容だ。

 コロナは時間を止めた。世代交代や新たな取組みを遅らせた要因となったかもしれないが、如何に一致団結することが大事で、その必要性に気づかせてもくれた。コロナによるダメージは産業によって様々だが、その変化に対応し始めたのは皆一緒。先の見えない中で先を見るという難題であったに違いないが、各々新しいことにチャレンジし続け、そのスピードは様々でも前を向いたところは存続できているところが多いように感じる。そしてそのスピード感をもたらすのはやはり次世代なのである。だが問題は次世代が業界の中心にいないことだ。業界には若手がいないわけでもないが、どの組合も団体も世代交代ができていないため若者が活躍する場が与えられていない。多少の入れ替えはあり各年代で踏ん張っているのは確かだが、世代交代はまだ完全ではない。次世代には1日でも早く会社ではない業界の役割を学ばせるべきだ。社会への貢献は日本社会全体の課題であり、業界への貢献も必要だ。継承には次世代を理解しなければ始まらない。その上での世代交代であり、継承だ。そしてもう一つ大事なことは、周りを必ず巻き込むこと。仲間を信じ、一丸となってやり抜くことである。

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