日本最大手といえる百貨店、(株)三越の時計・メガネを担当するバイヤー、清水誠さんに話を聞いた。「最近のバーゼルフェアやSIHHについて感じることは、技術革新や素材、こだわりの追及などもあって新製品の価格が全体的に高くなりつつありますよね。勿論プレステージ性も大切ですが、今までの“買いやすい商品”までもが高くなると、現状の販売本数減少傾向などもありマーケット全体に不安を感じます」と時計の全体的な価格上昇を懸念していた。「どのラインが“買いやすい商品”かは消費者により違いはありますが、この価格帯に話題性が増せばもう少し時計業界の流れも良い方向に向かうのではないでしょうか」と価格帯の戦略に疑問を投げかけていた。また「気になる流れとして、メンテナンス・フリーの開発や異素材の使用に大手企業が取り組んでいることは、将来的に大きな可能性に繋がると思うし、消費者寄りのモノ作りとして期待できることのひとつだと思います」と新しい時計業界の流れにも目を向けている。「三越の時計売場は、今年度全店計で昨対比7%増をキープしていますが、常に売場に動きが必要で立ち止まっているとすぐにマイナスに転じます。また、ただ売るだけでなく、トータル的な販売を行い、安心感を持っていただくことが大切で、時計のメンテナンスも大切なことのひとつです」と消費者信頼を強調。「時計業界が新たな領域に入っていく中で多くの“時計愛好者”の見る目も更に厳しくなりました。これからもいかに時計文化の楽しさ、おもしろさを伝えていくかを考えています」と消費者目線での考えを重要とした。
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