HOME管理一覧

連載コラム 石部イズム

■■ 第22回 「ブライダルの危機」 ■2023年3月1日 水曜日 10時40分16秒

 今から20年前くらいのゼクシィの登場からブライダルジュエリーの専門店が多くできました。どの都道府県も3店舗から5店舗くらいブライダルを中心に扱う店舗があり、私が展開しているセレクトショップでもそれぞれ繁盛していました。
 しかし、ここ最近ブライダルの卸をしている会社がコロナ禍で、直営店をクローズしたり広告を全くしなくなったりと、決して売り上げが伸びているようには思えないのです。  そして、コロナ禍に営業活動を自粛していたとはいえ、新作もほとんど作っていない卸会社が多いのではないでしょうか。 人員を少なくし、広告費を削り、ただ注文を待っているようにしか感じません。
 簡単に始められるブライダルの卸は最後には商品を引き上げることまで考えなければいけないのに、その体力は本当に残っているのかと思ってしまいます。
 私は今から約15年前に、卸から直営に切り替える時に全て返品という形をとり直営の商品に切り替えましたが、今であればその当時と違って2倍〜3倍のエネルギーを使わなくてはならないでしょう。
 小売店もサンプル商品を仕入れているわけであり、もしメーカーがなくなれば現品販売をするか、 地金に溶かすかしか方法はないのです。そしてますます少子化の波がやってくれば今以上に競争が激しくなる一方なのです。
 技術を持っているメーカーを大切にしていかなければいけませんが、自社で出来そうな商品は自社で作っていかなければ、最終的には生き残れないと私は考えています。
 ブライダルジュエリーは宝飾小売店にとっては最後の砦であったのだが、今後それに変わっていく商品はジュエリーでは難しいのです。
 時計業界でも昔は都道府県にどのブランドも取り扱い店があったものの、今では絞り込みが見られ、有名老舗時計店であったとしてもクローズしているブランドが多くなってきた様子が見られます。
 一握りの勝ち組になるには、選択と集中をしていかなければ以前と違ってなんでもかんでも取り扱いをすれば売り上げを作れるような時代は終わったと言えます。
 しかし、その中でも売り上げが上がっている小売店もあるのです。その特徴は富裕層に向けての商材の展開をしていることです。
 ジュエリーの低単価の商品は今後もネット販売を中心にますます拡大すると思いますし、中単価の商品が一番販売するチャネルがなくなってきており、展示会商品となっていてなかなか店頭で販売するのは難しくなっていっているのがこの中単価商品です。
 また、高単価の商品は今まで引き合いがあって委託で商品を借りて商売をしていたのがリスクもなく、それが商売の仕組みのスタンダードでした。常に商品をそろえていると富裕層のお客様は新規客として来店して頂け、お買い上げにつながっています。
 ジュエリーであれば、今であればアーガイルのピンクダイヤモンドか高品質の大粒のダイヤモンドが一番ホットです。
 資金は多く必要になるが、価値が下がりにくい商材です。今のうちに動かなくなった商品の整理をして投資する商品に変える事ができるならば、この業界もまだまだ捨てたものではないと言えるのです。
■第21回「小売業の崩壊」 ■2023年2月1日 水曜日 15時20分24秒

今年も冬のIJTに行ってきました。前回に比べて来場者は増加しているように感じ、活気が少しずつ 戻ってきたように思います。しかし、新しい出展業者や話題の商品などは相変わらず少なく展示会のマンネリ化は止まらないようです。  
私が会場を回る中で新鮮な話題だったのは、7月に開催される消費者向けの展示会「TOKYO JEWELYFES」の話題です。この展示会がどのように告知され、どのような会社が出展されて、どのような商品・価格で出展するのかという話でした。  
私はIJTに何度か出展を経験する中で、かなりの数のユーザーが来場していたのは言うまでもなく知っており、出展社側もそれが暗黙の了解であった事実があるのも知っています。建前では商売をしないと言っていてもインフルエンサーは一般ユーザーに近い人も多く、数年前からはライブ販売のコーナーまでもが出来ていて、ブースの中でライブ販売がされているのをよく見れば、IJTは誰の為にあるのかと考えさせられてきました。  
しかし、この7月開催のイベントはメーカーの出展OKなので実質小売業は消滅の危機に瀕しているのは間違いないでしょう。私の会社は御徒町にあり、プライスも安く値付けしているので、この7月のイベントは非常にありがたいと感じているのですが、展示会を主としている小売店や地方にしかない小売店は大打撃を感じるに違いないでしょう。  
今でも知る人ぞ知る「御徒町は宝石が安い」という概念が多くの人に知れ渡ってしまうのはもはや時間の問題です。以前は顧客を多く持っていた小売業が非常に力が強く、メーカーも色々協力をしてきたはずですが、高齢者の顧客ばかりになり商品も仕入れられなくなった小売業はこの業界の末路のように感じます。  
ブライダルジュエリーも同様で、以前はブライダルに特化した会社の売上が好調であったが近年は IJTへの出展はブライダル商品が少なくなっているのです。少子化もあり毎年2%ずつ婚姻数が減少していることは理解できますが、卸業をするブライダルブランドの力がだんだんなくなっているようにも感じてしまうのです。  
昨年の地金の高騰、そしてダイヤモンドや工賃までもが高騰する中で、上代が高くなったことにより今後のことも踏まえて私はメーカー様と話し合う場所を設けました。ほとんどの会社は売上が厳しく、現状維持するのがやっとという印象でした。ブライダルのビジネスはサンプル販売でその会社が継続されなかったら・・・と思うと今のうちに売れていないメーカー様と話をしていかないと返品もできなくなってしまうと考え、弊社で数字が上がっていないメーカー様に返品の話をするとやはり返品はとれないという答えが返ってきました。  
今後のことを考えていくなら技術的に他に真似ができないようなブランドは生き残れると思います。しかし、世界観だけを作った商品を仕入れていくのは難しいと思います。また、ヨーロッパのブランドも為替の関係もあり不安材料が多いです。そのことを踏まえ考えるならば、自社開発の道しかないよう にも考えています。  
ジュエリーもブライダルも小売業を取り巻く環境が決して良くはないです。力がないところは当たり前のように淘汰されていきますが、現状を壊さない限り状況は変わらないのです。そのためには新しいジュエリー団体が必要であり、新しいリーダーが必要ではないで しょうか?今のジュエリー団体に何を求められるのか考えてみたら答えはないからです。
■第20回「チャレンジ」 ■2023年1月17日 火曜日 9時25分37秒

皆様、新年あけましておめでとうございます。  
年齢を重ねていくと一 年が過ぎるのが非常に早く感じるようになり、日々仕事に追われているような気分です。ゆとりを作らなければいけないと感じ、それには次世代へのバトンタッチをそろそろ考えなければと思っておりますが、毎年「今年こそは!」と決意を新たにする正月です。  
昨年を振り返ると一年を通じて激しい変化があった年だったと思います。年初めの円安、そして地金価格やダイヤモンドの高騰も含めジュエリー業界は一時どうなるかと思いましたが、年末には逆に円高になりダイヤモンドの価格も下がりアップダウンが激しく、全く先が読めない一年でした。  
そのせいかクリスマス商戦でも新しい商品を出している店舗は少なく、過去のもので売れ筋を中心に控えめな商品構成の店舗が多いように感じました。百貨店のジュエリー売り場も同様でクリスマス当日であっても昔のような賑わいがないように感じました。  
御徒町や銀座付近のジュエリーショップもクリスマスなのに今まで以上に閑散としている状態であったのに比べ、ナショナルブランドのルイヴィトンやシャネルなどは円安の影響も受け値上がりをしているにも関わらず、店に入りきらないほどの行列の光景を見て、クリスマス需要はジュエリー店を利用しようとする人が明らかに減っているのだとつくづく痛感しました。
 振り返ってみれば最近のIJT でもギフト商品を作るメーカーの 出展もあまり見かけなくなり低単 価の商品は店頭販売からネット 販売に形を変えていったようにも 感じます。
 小売店にとって新規客の入り口になっているギフト需要がなくなっていけば、次に続くであろうブライダル需要までもが集客でき なくなっていくのです。  
今の小売業で展示会を継続しない限り企業運営を継続できない会社が大半ではないでしょう か。新規客も少なく従来のお客様に重ね売りをしていた売り方が果たしていつまでできるのかが問題 になってくるのです。  
また、仕入れをしない小売業にいつまでも展示会の協力をするメーカーは果たして継続できるのでしょうか。 さらに、仕入れをしない小売業よりも、IJTの会場などで増えているライブ販売をしているインフルエンサーにターゲットをシフトチェンジしているメーカーは、今後小売化していくでしょう。  
そしてその先には、小売とメー カーの両方が減少し衰退していくことが間違いないのです。

変えなければ明日はない。  

勝ち組は展示会に頼らず、商品を仕入れ、クレジット販売を少なくし、店頭型の販売が主とするのが一番の理想であるのは言うまでもなく、大きな会社よりも強い会社にしていかなければならないのです。 私は今年、ホールセールスに力を入れ店頭販売ができるメーカーを作っていきたいと思っています。今までにない新しい商品と企画で皆様のお役に立てるよう頑張っていこうと思います。
■第18回 「変化への対応」 ■2022年11月1日 火曜日 20時41分37秒

IJT秋が10月26日から はじまり、各ブースで飛び交う話題はコロナウィルス感染者数よりも円安の問題の方が多く出ていました。 会場全体を見ると、いつも通りの人数が来場していましたが賑わっているブースは海外インフルエンサーや真珠を買い求めている中国人ばかりが多いように感じました。
この現状から私が感じたことは、 出展社側は既に日本ではなく海外に目が向いていて最終的には小売業としての在り方が変わっていくような気がしたことです。御徒町でも同様で海外のインフルエンサーで日々賑わっています。その大半は真珠を買い求め、1人で数十点求めて買いに来られる方も増えています。 その上、インバウンドで来られる外国人観光客が急に増加したことで浅草や秋葉原などで多くの観光客が爆買いをしており、その影響で御徒町でも少しずつ観光客の来店が増えています。来店数も増え賑わいを見せていますが御徒町の街が小売店化していくのは間違いないのではないかと感じているのです。

また、時計業界でもスイスフランが150円近くまで上昇し、繰り返し値上がりする中、業界内の勝ち組と負け組の差がはっきりとしてきたような感じがします。 富裕層が求めているブランドは価格が高くなっても変わらず人気で、中間層をターゲットにしてきたブランドがここにきて苦戦を強いられています。
この時計・宝飾業界は国内で良いとされていた時計の高級ブランドとブライダルの商売の中でも勝ち組と負け組に分かれていっています。
ブライダル商品を扱っている会社も地金の高騰だけでなくメレダイヤモンドまでが価格が高騰している為、上代を上げなければならない状況になってきました。
ブライダルの卸も昔はIJTへ多くの会社が出展していましたが、今は見る影もないのです。 日本の市場というのは厚生労働省の統計によると年2%ずつ婚姻数が減少しているようで、今後も婚姻数自体が減少していくのは仕方がないこととはいえ、今後のブライダル業界の需要と供給のバランスは崩れ、供給の方がこの近 年は上回っていると思います。最近では二人で作る手作りのブライダルショップのようにInstagram やTikTok映えするような商売も増えており、このように時代に合った商売が人気となっています。
海外、特にヨーロッパのマリッ ジリングのブランドもユーロ高、地金高もありかなり苦戦しているようです。 私も以前ブライダルの卸をしてきましたが、今後を考えると「卸」 自体がなくなっていくような感じがしています。 ブライダルは自社開発をして、上代をうまく調整できる商品を作っていかないと先がなく、セレクトショップの展開は過去に過ぎなくなってきたのです。 今月、弊社は沖縄に出店し国内コンプリート(国内各エリアへ の出店)する中、次の新しいステージに切り替えていきます。 地方に出店する時には、地元のブライダルセレクトショップと競合すると思われがちなのですが、私はナショナルブランドとの差別化しか考えておらず、webを含めパワーゲームにしていかないと生き残れないと考えています。 また、自社商品の割合を80% 以上にして展開していかなければ難しくなると考えています。 高級時計の商売を継続する為には富裕層が来店してくださる店 舗になることが唯一の道だと考えており、ただ時計ブランドを数多くそろえる時代ではなく選択と集中により、取り扱うブランドではなく、取り組むブランドにしていかなければブランドから要求されるハードルを越えてはいけないでしょう。
一年間に為替が30円以上動くなか、経営者のトップダウンが必要な時期になっているのです。 スピードをあげるにはそれしかない。
■第16回 「マンネリ化脱出」 ■2022年9月1日 木曜日 10時24分31秒

展示会ビジネスが中心となった今、商品もメーカーも代わり映えせず、所謂「マンネリ化」した中で、新しい風を作る事が最大のビジネスチャンスだと私は思い、昨年から時計のベダ&カンパニーの日本正規代理店になりました。そして、 レディース商品だけに絞り展示会に出展することで少しずつ実績が生まれてきたのです。
地域の老舗時計店以外ではメーカーから要求される条件が厳しくなり、ほとんど時計の販売ができない状況に追い込まれています。時計販売店は結果を残すため、現在大変な努力をしていると思います。
ベダ&カンパニーは時計を扱っている方からすれば人気とは言えない時計ブランドとして位置づけられている印象がありました。それは有名時計店に数多くのブラ ンドがあり、その中に人気ブランドが数多くあるからで、あまり有名でないブランドのコーナーを構えて在庫を持ってもらっても売れて いくのはなかなか至難の業なのです。
ただ、デザインが悪い訳ではなく価格が高いわけでもありません。非常に買いやすい商品ラインナップです。販路を変えれば、このブランドの伸びしろはどこまであるのか、今は仕入れなしを条件に全国のイベントに出向し、見極めているところです。
私も時計業界に長く携わっています。仕入れをして売れ行きが悪かった場合には1対1.5などで新しい商品と交換してくれるメー カーがあったので、在庫にしてもそこまで負担がかかるように感じなかったのですが、メーカーはセルインしてもセルアウトしてなければ並行輸入業者に商品を回したり、最終的には投げ売りをしたりしなければならない状態になるので、ブランド価値を失いディスカウ ント商品になっていったのだと思います。
宝飾の展示会はあっても時計の展示会数は少ないので、女性販売員の多いジュエリーショップからすれば販売するのはそんなに厳しい事ではないと私は思っています。 販売する商品は機械式ではなくクォーツ時計が中心なので、メンテナンスも非常に簡単であるところが扱いやすいのです。 また、広告費をかけ女性誌に掲載することで少しずつ認知度が上がれば、販売しやすくなるので女性雑誌への広告掲載も増やしています。
今の小売店は顧客の高齢化が大きな問題です。若い層の来客が少なく、新規顧客を獲得するノウ ハウがない状況で、既存顧客へ重ね売りをしている現状を変えなければ経営がどんどん難しくなっていくのです。どうすれば集客ができるのでしょうか。 私は考えた結果、店頭イベントにも力を入れていけるホールセールこそが他にはない新しい風となる事業なのではないかという考えに至りました。 私はこれから、小売業を30年以上してきたからこそわかるノウハウをお伝えしていきたいです。
私どもの社も本店を7月に大粒ダイヤモンド専門店としてリニューアルオープンしました。まず、委託が当たり前だったダイヤ モンドの商売を仕入れに変えることは資金がかかるものの実はリスクはそんなに高くはないので通常の商品をなくしました。ダイヤモンドの大粒で高品質、低価格がどこまで市場に増えていくのか、楽しみになる本店がやっとの思いでスタートしました。
却って売れ残った通常商品の処分をするリスクの方が高くなったことから、今後は御徒町を訪れるユーザーは価格と価値を考えて求めてくる方が増えると思っています。 変化することで進化するように、新しい風を作っていきたいと思います。
■■ 連載コラム ■2022年7月31日 日曜日 11時38分29秒

第15回「リニューアルオープン

毎日ニュースでコロナウィルス感染者数が都内で3万人を超える話題がある中でも、御徒町の人通りは少しずつ以前の様に戻ってきているように感じています。
円安や地金価格の高止まり、ダイヤモンドの高騰などこの業界は色々な問題を抱えていることは言うまでもありませんが、今後のビジネスを考えて 、私はこの度、BIJOUPIKO御徒町本店を大粒ダイヤモンド専門店へとリニューアルオープンすることにいたしました。  今、都内の有名ブランド店や銀座の老舗店でも高品質ダイヤモンドの大粒を在庫している会社は極めて少ないです。「ダイヤモンドは委託」という概念が定着しすぎているのが現状であり、ユーザーにルースでしかお見せしていないのが実情です。私は選択と集中することで多くのダイヤモンドを仕入れてデザインをすることで、他店との差別化を図ることが出来ると考え、このリニューアルオープンをしました。  
近年ダイヤモンドを求めるユーザーは銀座などで価格やデザインを見て、その後御徒町へと足を運び購入するパターンが増加しており、その火付け役はIJTだったのです。  
今の商売の仕方はBtoBではなくBtoCに力を入れてきた結果であり、海外のインフルエンサーも御徒町からライブ販売をしています。  
IJTでもインフルエンサーの発信場所がある為、このコロナ禍でも毎日のように御徒町ではライブ配信されているのが現状です。  
最近ではライブ配信だけを行っている会社が御徒町でも増えていることがわかります。  今後のインバウンドは以前よりも円安になっていることから考えると御徒町はドル箱になる事は言うまでもないでしょう。  
御徒町を訪れる国内のお客様でもIJTに以前行ったことがある等の声が増えているのが現状で御徒町も以前から比べて信用度が増しているのを肌で感じています。  
特にダイヤモンドは鑑定書の有無を聞かれるケースが増えていて、中でもGIAの鑑定書を求めるユーザーが多いのです。  
今後は価格の商品も騙しがきかなくなってくると思います。 展示会依存が高まる中、良い商品が日本から消えていっているように感じてしまいます。 私は価値があり、適正価格を大切にしながら商売を続けなければ長くく継続しないと思います。
■■ 第14回「変化に対応」 ■2022年7月1日 金曜日 14時13分42秒

記録的な円安や地金の価格高騰などによりこの業 界も変化に対応しなければ継続できないと考え、私は6 月にアメリカに渡りJCKL as Vegas2022に参加してきました。 日本から訪れる人も中国からの参加もゼロではないが、コロナ禍ということもありとても少なく、ほとんどがアメリカ本土の人で賑わっていました。 ただ、会場を回っている中でも「日本から来た」と伝えると驚かれることが多く、コロナ前からでも日本とのビジネスのやり取りの少なさが露見したように感じました。

そしてインフルエンサーの姿もユーザーの姿も見当たらないのです。

ここ数年、日本の展示会ではインフルエンサーの多さが目立っており、今後のインバウンド需要を考えてみるとインフルエンサーの数が2倍3倍に増えていくことは間違いないでしょう。日本の展示会はBtoCになってきていることは言うまでもなく、小売り店向きの商品からインフルエンサー向きの商品に変化しているのです。 JCKではジュエリーも非常に 高価な商品が多く、日本の展示会での商品の差が大きくなって いることが伺えました。

日本では展示会を乱発することで、小売店が仕入れをしなくなり在庫を持たなくなったことが積み重なったのでしょう。通常の商売でも委託が多くリスクを取らなかった結果として大きな差が生まれ、表れてきているのだと思います。

ここ10年、小売業がブライダルの商品に力を入れ、ジュエリーに対する関心が少なかったことも大きな原因の一つではないでしょうか。 日本で1ct以上のダイヤモンドの空枠を探すことは難しく、デザイン画を起こし、制作して何か月もかけなければ納品できない日 本に対して、アメリカではエンゲージのスタンダードが1ct中心というのもあり豊富なデザイン枠がたくさんあるのです。空枠であっても日本はかなりの遅れいることを感じました。
厚生労働省の令和2年人口動態統計月報年計(概数)による と、2020年の婚姻件数は52万 5490組で、前年の59万9007組より7万3517組減と大幅に減少し、戦後最少となっていました。ブ ライダル業界の需要と供給のバランスが崩れかけています。 どこのブライダルショップも苦戦してきているように感じます。また、最近では2人でリングを作る 手作りショップも増えてきています。このようにローリスクでできる店舗も増えてきて多様化する中、ブライダルジュエリーを卸しとしている会社の売り上げを考えてみると非常に厳しいのでしょう。 以前は展示会で出展業者は多くあったと思いますが、最近では出展業者もわずかとなり自動販売機のビジネススタイルのようにそこにあるということに価値をおき、売り上げを生むことができた時代の終わりを感じています。広告費がかけられなくなり企画も新商品も少なく営業までも行かなくなった今は衰退するのみなのです。

ブライダルが旬な時に卸を始めた会社は今辞めたくてもやめられなくなっているでしょう。その原因は返金ができるかどうかで、なかなか資金的に厳しいものがあります。 私も以前、出店をするために返金してきたことを思い出すとかなりの資金が必要であったのです。 これからの時代、競争が激化する中、自社商品の強化や価格訴求に力を入れなければいけな い時代に突入しました。 JCKで刺激を感じたことは、やはり商品は仕入れを起こさないとはじまらないということです。
■■ 第13回 物価上昇 ■2022年6月1日 水曜日 9時49分15秒

為替が130円を超えたと思いきや、126円位までの円高になり金の価格もアップダウンが激しく、なかなか先を読んで動くことを難しく感じています。更に最近では物価高が大きな問題になってきているのではないでしょうか。
ウクライナの情勢のことや円安の長期化により食料品の価格上昇が加速していった可能性が高いのでしょうが、物価の上昇が続くのに対して賃金の伸びが追い付いていない現状もあり、これが問題となってくるように感じます。 ジュエリー業界もダイヤモンドの価格上昇や地金価格も上昇が続いているので、今後プライスへの影響があることは免れないでしょう。 コロナウィルスの影響で延期や中止が余儀なくされていた展示会が開催し始め、展示会が増えてくると、ただでさえ高い商品上代が上昇し、この状況になっても展示会ビジネスはジュエリー業界の中で存続できるのかということを考えてしまいます。

ただでさえ展示会が麻薬的なものとなり顧客に重ね売りをしてきたためにローンがもう通らなく なってしまっている顧客さえいます。それに加えてこの物価上昇が続くとなると生活苦になり破産する人まで出てくるのではないでしょうか。

展示会を実施するにはまず、会場の費用が莫大にかかってきますが、この費用が大きくかかる原因は小売店の利益や値引きを考慮した“掛率”が問題になっていることが一つです。そこにメスを入れなければ今後地金価格がさらに上昇すればとんでもない価格になってしまいます。 昭和から続いてきた展示会ビジネスも変わらなければいけないと思いつつも次の戦略が見えてこないためにどうしても現状維持になってしまっているのです。ただ、上代設定を変えなければ生き残れない展示会メーカーは、今決断しなければどんどん縮小していってしまうことは自身でもわかってきているとは思います。
また、賃金の問題も大きく、ジュ エリー業界はもともと賃金が低いとされている中で賃金が上がる要素が少なく業界全体でも高齢化社会となりつつあるのが現状です。 今のZ世代の人たちの雇用が出来なくなると業界の縮小にもつながってしまいます。環境問題やコンプライアンスはどんどん厳しくなってきているので、今は内部改革こそが必要になっているのです。職人やデザイナーの人数自体も減少傾向にあり、「モノ作り日本」も今後はさらに厳しい状態になっていくのでしょう。 ただ、悪いことばかりではなく、私が感じていることは以前のインバウンド需要が高まっていた頃よりも高い単価の需要が増えてきているので、コロナウィルスの水際対策強化に係る新たな措置について外国人観光客の入国制限の見直しがされ、徐々に観光目的の入国も認めるようになりますのでこれからの海外観光客には期待をとても感じます。

最近では3ct〜5ctのダイヤモンドの高品質の問い合わせも増えており、「動産価値」というものを考えた購入が増えてます。国内の富裕層も同様で市場の少ない商品を探している人が多くなっていますが、私もその1人で大粒のダイヤモンドの仕入れを強化しています。ですが価格は高く商品自体の数が少ないのが現状です。 ダイヤモンドの委託ビジネスが 成立していたのは過去の話であり、大粒の高品質ダイヤモンドの在庫を数多く持つことこそがインバウンドで成功させるカギとなるはずだと私は考えています。
■第12回 「決断力とリーダーシップ」 ■2022年4月29日 金曜日 9時36分0秒

新型コロナウイルスの感染者数は未だに毎日5千人程度あるものの、東京の街の様子はコロナウィルスの流行前と変わらなくなってきました。しかし御徒町に賑わいはなく閑散としています。ここ最近の1カ月を見ても円安のことや金価格の上昇とダイヤモンド価格の高騰が続き、依然としてこの業界の環境は変化し続けていることは確かなのです。 今こそ経営者の手腕の見せ所です。今までの経験と勘とそして度胸が試される時期にきているのです。時代が常に変化する中、誰が見てもコロナウィルス感染が流行し始めてから世の中が変わったことに気づいているのだから、商売の仕方も以前とは変化させなければ、当然のように時代から遅れていくことになります。
私も振り返って考えてみると、今から20年前に時計のブランド数を35ブランドから7ブランドに減少させた経験があります。その時は周りから時計販売を辞めるとか言われましたが、今となれば正解であったと感じています。私は時計の博物館を作りたい訳ではなく、多くのブランドを取り扱う大型家電量販店にしたい訳でもないのです。仮に多くのブランドを取り扱ったとしても、そこまでの時計の需要は見込めない為、 在庫の金額だけが増え資金繰りが大変になり、他のビジネスにまで影響してしまうことでしょう。
そもそも、私が思うことは時計店の女性客の数が男性客の割合から比べると圧倒的に少なく、宝飾店はその逆で男性客が女性客に対して少なすぎるということです。 私は常にバランスを取って、リスクヘッジをかけ続けなければ経営の安定はないと思っています。ですから今は選択と集中が大事であり、将来性を感じない商品を辞めていかないといけない時期なのです。 時計ブランドは都道府県別でエリア制度を策定し、販売店を決めてきました。私の店舗がある徳島県は人口72万人であり、全国でも人口が多くないエリアです。四国全体で見ても四国4県と静岡県とが変わらない人口者数です。そこで多くのブランドを扱えば当然経営は厳しくなるはずなのです。一部のブランドは全国から問い合わせがありますが、 それ以外の他の地域にもあるブランドであれば近くの店舗で購入すれば良いのでわざわざ他県まで買い物をしに行くお客様は少ないでしょ う。有名ブランドがメンズジュエリーの新作を数多く出しているのに、この業界はあまりにも少ないように感じます。 宝飾業界もこんなに今まで時計の人気があったにも関わらず、メンズジュエリーの数が非常に少ないですし、あったとしてもデザインが昔からあった古いデザインしかないのが現状ではないでしょうか。喜平のネックレスの売り上げが目立つのも仕方のないことかもしれません。私は年末からのダイヤモンドの価格上昇に伴い、仕入れを強化してきましたがリサーチをすればするほど、ほとんどの店頭に大粒のダイヤモンドを見かける事が前に比べて少ないことがわかりました。銀座の有名店であっても大粒のダイヤモンドはほとんどないのです。 委託で商品販売をしてきた結果、在庫でダイヤモンドを持つ必要はなく、お客様のリクエストがあればダイヤモンドをメーカーに問い合わせするビジネススタイルが確立されたために 現在ダイヤモンドを中心に扱っているメーカーでもほとんど商品が少なく 委託ができないような状態になっているのです。 今のインフレが長く続き、コロナウィルスの流行も落ち着いて、もし、 海外からまた人が流れてきたとしたら、以前の為替が120円前半の時に「爆買い」が起こっていたように、この130円目前の今、海外(特に中国の観光客)の買い物は高品質のダイヤモンドと真珠がマストですし、国内の富裕層も高品質ダイヤモンドがないことをニュースなど目にして購入されるのではないでしょうか。 今後の円安を考えればダイヤモンドの在庫を厚くした会社が非常に強くなると私は思います。決断とリー ダーシップが経営の鍵になるはず。
■第11回「決断」 ■2022年4月1日 金曜日 9時56分5秒

第11回「決断」

コロナウィルスのワクチンも3回目の接種が始まり感染の脅威も少し落ち着きを見せたところに続いて、新たにウクライナの戦争が始まってしまったことで、世の中の流れはより目まぐるしく変化してきています。
円安、地金価格の上昇だけではなくダイヤモンドの価格も高騰する中で、今後のジュエリー業界を取り巻く環境は更に大きく変化していくことは間違いないでしょう。
金の価格にしても8千円半ばに迫ろうとしていることを考えれば、新しい商品を作ろうとしてもかなりのコストを要ししてしまうし、ダイヤモンドも平均20%くらいは優に上昇していることを鑑みると、果たして作った商品が本当に売れていくのか考えてしまいます。 例えば、現状の低単価商品の上代を上げたとします。すると消費者はなかなか手が出なくなりますし、逆に上代を変えなければ利益が圧迫されてしまい会社の経営が行き詰まり、悪循環が巻き起こることになります。今後、一般庶民が購入できる商品はますます少なくなってしまうのです。展示会でも、ただでさえ上代が高くなっている状況を考えれば半年、または1 年先には恐ろしいくらいの上代になることでしょう。同様にブライダルジュエリーにおいても地金とダイヤモンドの価格の高騰により上代が上がっていくことは間違いな いのです。唯一安定していたブライダルジュエリーでさえも先行きは見えなくなってしまいました。 逆に、御徒町のダイヤモンドのオークションはかなり売れ行きが好調という話を聞きました。しかし、その販売先を聞いてみると国内の業者でなく海外の業者であるというのです。
真珠にしても国内の業者が仕入れをしないという流れが出来あがってしまっている為、 海外に販売先をつくるのは仕方がないことだと思います。 ダイヤモンドも国内での商売は 委託商品で商談する流れがほとんどでしたが、最近では委託をする商品すらなくなってきていて「1ct以上は委託が当たり前」であったことがこの半年で当たり前ではなくなり、大きく変化をしていたことに気づきました。販売をするには自社にて仕入れをしていかなければ販売ができない時代になっていたのです。ただでさえ国内には高品質なダイヤモンドの数が少なかった上、この状況が重なってしまうのであればダイヤモンドを販売するどころか仕入れをすることさえも大変な時代がやってくることは確実ではないだろうか。 このウクライナ戦争が終わったタイミングでダイヤモンドの価格は以前の様な価格に戻り、安くなるのでしょうか。それとも今以上に価格が上昇してしまうのでしょうか。この疑問に頭を悩ませている経営者の方は非常に多いと思います。
私はこの疑問点を持ちながらも3月中に高品質の1ct〜3ctのダイヤモンドを仕入れ、約50ピー ス集めました。しかし以前に比べて価格は格段に高くなっており、ダイヤモンドの市場が売り手市場に変わりつつあることを実感しています。今後も私はダイヤモンドの仕入れを更に強化していくつもりです。引き続き1ctから3ctのデザイン開発をどんどんしていくことで他の会社との差別化を図っていくことを考えています。 日本のダイヤモンドの販売スタイルが変わる今、委託という販売スタイルが難しくなるのであれば仕入れという大きなリスクを背負うことのできる会社だけが勝ち組となることは間違いないのです。富裕層向きの商売は口火を切ったのです。
■■ 第9回 「壊す力は生む力」 ■2022年1月30日 日曜日 11時22分53秒

コロナウイルス感染拡大の中、無事に1月12日〜15日の IJTも終わり、弊社は狙い通り今需要がある商品を出品できたこともありまして、今後が楽しみになりました。
今回 IJTで私が感じたところは、インフルエンサーの販売ブースが出来ていたところくらいでほとんど変化がなかったのではないでしょうか。 今はインフルエンサーが中心となり真珠のエリアやエコの商品エリアも図らずもインフルエンサーの人たちが賑わいを作っている感じがしました。この時に私が考えたことは、インフルエンサーの人達は宝飾業界にとってプラスなのかマイナスなのかということです
何の仕入れもせず、ライブ配信でお客様に販売をしている様子やまたその数が1点や2点ではなく数多く販売をしている方をよく目にしました。海外の方(主に中国やフィリピン)が多いのが救いではありますが、日本国内でこのライブ配信が増えてしまえば仕入れをしている 宝飾小売店にとってダメージはとても大きなものになります。 展示会を中心に活動している会社と価格を比較してみたら、とんでもなく値段が離れているのは言うまでもありません。このIJTもまた、小売業は展示会に出展してくれるメー カーの商品を見に来場される方が多く、仕入れをしている光景は少なかったように感じました。ジュエリー 業界のことを考えてみるとまさしく末期であり、ジュエリーを販売している業界なのか、それともイベントを開催している業界なのか、わからなくなっているのが現状なのではな いかとつくづく感じてしまいます。
コロナウイルスも最近流行しているオミクロン株が拡大すれば、また今までと同様に展示会の開催は少なくなり、開催したとしても来場者数は少なくなるでしょう。このまま今までと同じ展示会を継続し続けていけるのかと常々考えてしまいます。 本来、展示会は店頭商品にない品物を展示会で販売していたはずが、仕入れをせずに通常店頭に置く商品を販売していると感じます。 店頭のディスプレイを考えてみると、商品はあるものの、鮮度はなく、販売できればラッキーといった感じになっているようにすら思えてきます。 私は逆に今、仕入れを強化する ことで、他店に行っても無い品揃え にするだけでも新規客の来店があるように思います。私が経営する御徒町本店でも「他店に行っても新しい商品がないから来店した」という声が増えてきているのも事実です。世の中的には車も高額の車が たくさん販売されていますし、時計業界も同様で高額商品の売れ行きは順調です。車、時計といえば男性客が非常に多くそのニーズのユーザーが宝飾で何を買うかと考えてみると、以前みたいにシルバージュエリーを買っているとも思いません。車、時計と釣り合う品物を探 しているのです
先日、ルイヴィトンの売り場に立ち寄ったところ、ジュエリーコーナー にメンズジュエリーが豊富に並んで おり、私もこの業界で仕事をしていなければナショナルブランドで買う 人間だと改めて実感しました。 ネームバリューもリセール価格も強いとなればこの宝飾業界が扱っている商品はすべて昭和の時 代のもののように古い考え方でのものだと感じてしまいます。御徒町のメンズジュエリーといえば喜平がこの何年も売れています。逆にそ れ以外買う商品がないと言ってもいいくらいではないでしょうか。 また、御徒町では大粒のダイヤモンドの売れ行きが目立ってきているのを見ると「資産価値」を考えながら購入されているお客様が増えているように感じます。現状、低単価商品はネット販売が強いと思いますが、高額商品は人のつながりであったり、店の信用であったりと今のところネット販売があまり上手くできないように思います。
今、宝飾はこの部分(ネット販 売)を強くすることで上向きになるように考えています。私はこのIJTに 出展し続け、新規客(富裕層)はどうすれば増えるかということをテーマに商品を作りを考え続けていき たいと思っています。
「壊す力が生む力」これが今の宝飾業界に必要な力であると私は考えます。現状、良くないと思っている 人が多いと思いますので、ともにこの業界の発展のために頑張っていきましょう(絵・T・B・T代表取締役社長 石部高史)
https://bijoupiko.co.jp/

■■第8回 「ビジネスチャンスをつかむため」 ■2021年12月24日 金曜日 17時51分18秒

新年あけましてお めでとうございます。
 無事に新しい年を迎えることができました。新型コロナウイ ルスの感染拡大から約2年が経ち、出口の見えない閉塞感を抱えていたジュエ リー業界にようやく光が見え始めた中で、今後何をしていけばいいのか、と考 えてしまう人も多いでしょう。
展示会は マンネリ化しており、新しい商品が増えていることもなく、展示会を開催している小売店の新規客が増えていることもない。御徒町ではこのような状況が日常になっています。
 今、小売店が求めているのは新しい商品と集客ができる企画であると私は考えています。この新しい商品と集客ができる企画をコンセプトにして形にできればビジネスチャンスが 広がるのは当然のことながら、こういったポイントを考えてIJT等に出展する会社は少ないのではないでしょうか。
 私は昨年12月に入ってから、1月「つかむためビジネスチャ ンスを 」第8回連載 『石部イズム〜御徒町編〜』コラム 絵・T・B・T 代表取締役社長石部高史12日から始まるIJTに、このコンセプトを提案できるブースを4か所出展することを決めました。
 1つ目の商品は、弊社が日本での独占代理店契約を交わしたスイスの女性時計ブランドのBedat&Coです。高級時計ブランドはどのブランドも都道府県にそれぞれエリア制をとり、コーナー什器を作り在庫をたくさん仕入れ、販売をしていくというのが一般的なビジネススタイルですが、たくさんあるブランド数の中でも売れているブラ ンドはほんの数ブランドです。一見してみると有名時計店は華やかなように感じますが、在庫とのバランスを考えると数を絞り込まないと経営が大変になっているのが実情です。
 このBedat&Coも以前はそういったビジネススタイルでしたが、うまく運営できているわけでもなかったように感じています。ジュエリーの展示会では宝飾品はたくさんありますが、ジュエリーウォッチは全くないということも 事実ですので、今回のIJTでは女性客の多い展示会型の商材として展開していくつもりです。Bedat&Coは世界で初めてステンレスモデルにダイヤモ ンドをあしらったブランドで、全ての商品が女性用だけとターゲットをしぼっているので、今後は女性雑誌に年2回のブックインブックで広告展開してい く予定で企画を進めています。
 2つ目の商品はアップルウォッチの専用ケースを中心に展開しているスウェーデンのゴールデンコンセプトです。10万円アンダーから20万円台の商品があり、最近多くの若者がアップルウォッチを愛用している為、デザインの差別化として人気のアイテムになっています。この商品も新規客作りには活用できるはずです。
 3つ目はアメリカで人気のマイアミチェーンです。マイアミチェーンは日本では若い富裕層の中で人気になっているアイテムの1つです。特に男性に人気があり、500万円を超える商品が数多くあります。男性には高級時計が売れている中、メンズジュエリーもシルバーからゴールドに変化してきている現状がありますので、受注会を行っていく商材として展開をします。
 最後の商品は、新規客を集客するために、人気YouTube rのラファエル氏とブランドを作りました。小売店へのYouTube広告等を中心に新規客を来店させる商材を展開していき ます。
 この4つのアイテムで新規客を増やすことができれば、それがお店の強さになるのは言うまでもありません。小売のことがわからないメーカーが企画するより、小売を経験しいている私が今後も企画を提案していきたいと考えています。
  IJT開催初日の1月12日の夜に、「うさぎクラブ」が再開します。この会はメーカーや小売、デザイナーや職人といった業界の垣根を越えて、今では少なくなってしまった情報交換を活発にできる場であり、同時に様々な 人と知り合える場になっています。貴重なコミュニケーションがとれるこの機会にぜひ参加していただければと思います。
■第7回「うさぎクラブ」 ■2021年12月5日 日曜日 9時49分6秒

先日、IJTに続いてJJFも開催され私は両方のイベントに参加してきました。やはり、同 じ時期ということもあってほとんどの出展業者は変わらず、場所も甲府とあって来場者数もIJTと比べると3分の1程度ではないでしょうか。出展業者も採算が取れているかと考えると非常に厳しかったように感じる展示会でした。  
日本を代表するイベントであるはずなのに展示即売会になってしまっている現状があり、香港のジュエリーショーと比較したら本当にままごとにしか過ぎません。 商談をしている様子が見えるのはまばらで、出展業者の中にテーブルをたくさん用意して、中国やフィリピンのインフルエンサーがライブ販売をしている姿が多く見られました。
御徒町でも以前からライブ販売が店頭で多く見かけられ、特にユー ズド商品を多く取り扱っている会社は賑わっていましたが、最近では展示会に出ているデザイナー商品が人気のようで、デザイナーと一緒にライブ販売をしていることが増えているように感じます。仕入れをする場所からライブ販売をする場所に変えたほうが効率が良いのではないかと思ってしまいます。
小売店の立場から考えてもIJTやJJFは仕入れをする場所であったが、今はインフルエンサーがメインであるようでプライスをドル表示にしているところが増えています。 すると、甲府でもユーザーがたくさん来場する場所になり、小売店は展示会を多く開催するようになります。ユーザーが小売店の展示会の上代設定とIJTやJJFの上代を比べて、それをSNSで拡散してしまえば、 小売業が今まで「信用」という名のもとで商売してきた事が、一瞬で崩れていきますし、主催者がきちんと整理をしていかなければ小売店を取り巻く環境は非常に悪くなっていくのは言うまでもないでしょう。展示会に会社の売り上げを頼ってしまうと、5年後にはどのくらい淘汰されているのかを最近よく考えます。
最近ニュースで賃上げが話題となっていますが、宝飾業界の所得が少ないし、利益を上げている企業も少ないことから考えると、ますます若く良い人材が少なくなり高齢化が進んだジュエリー業界になっていくのは目に見えています。
私は2年前から「うさぎクラブ」というジュエリー業界の垣根をなくした会を開催していました。コロナウィルスが流行しだしてからは休会してきましたが、感染者数が減少したこともあって先日発起人たちと食事をしながらこのコロナ期間中のことや、これからのジュエリー業界について話をしました。
このメンバーは、私から見て「親の七光り」的な経営者ではなく、どちらかというと2代目3代目であっても創業者に近い考え方を持っている人たちです。宝飾業界に今一番必要なことは「情報」であり、生の声で刺激を感じ活力にすることが一番大事ではないかと思います。ですから、今まで接点がなかった人と人同士をつなぐ場所でなければいけないのです。技術者もデザイナーも物作りをしている人も、 メーカーから安い工賃で仕事をもらうより小売業と接点を持って良い仕事をするほうがよっぽど良いのではないでしょうか。 この「うさぎクラブ」は、当然ビジネ スで成り立っていますが、私が御徒町の場所にしたのも、ここには良い技術を持っている人がたくさんいて、なかなか出会うことが出来なかったというデメリットがこの御徒町で解決したからです。いろんな人の紹介がある御徒町のような場所は世界的にも数少ないジュエリータウンであることは間違いありません。
だからこそ、この場所を生かすことも殺すことも次の世代にかかっていると思います。今のこのジュエリー業界の崩れた形を直していかなければ、ハイブランドに飲み込まれるのは時間の問題です。 御徒町にもジュエリータウンおかちまち(JTO)という団体があり、 私も御徒町に移転してから加入していますが、どうしても周りの目を気にしながら活動せざるを得ないところがありますので、この「うさぎクラブ」と連携しながら、御徒町の発展を望んでいます。 次回の会合はIJTの日程の中で開催する予定ですので、ご興味のある会社はぜひ参加していただければと思います。
■第5回「ブライダルの卸の末」 ■2021年10月1日 金曜日 11時54分2秒

9月に入り、コロナウイルス感染者数が急激に減少し、 終息とは言えないまでも緊急事態宣言が解除されてきています。
宝飾業界は非常に厳しい中、ブライダルジュエリーだけがなんとか数字を作ることができているのが現状ではないでしょうか。小売業でブライダルにシフトした会社はこれまでが本当にいい時代であっ たと言えるでしょう。コロナ禍の中で一番影響を受けなかったからです。
しかし、近年、IJT等の展示会でブライダルジュエリーのブースが目に留まらなくなったように感じませんか?
ブライダルジュエリーの卸は基本、「各エリア都道府県に1店舗ずつ」としながらセレクトショップに卸を営んでいました。私も、ブランドを立ち上げてはIJTなどの展示会に出展をして全国に卸をしていました。今から、15年ほど前はIJTもブライダルジュエリーのブランドが軒並み出店しており、全盛期 だったことが懐かしく感じられます。私の場合は、もともと小売り業からスタートした会社でしたので、やはり卸業は難しく感じ、自店での出店を繰り返していく内に気づけば50店舗を超える会社になりました。
しかし、一度卸をした商品はサンプルであり卸先がある以上、継続しなければいけないという義務が発生します。ブライダルジュエリーの卸はエリア独占という確固たるセールストークがある故に営業という入り口は非常に簡単になっていて、営業にも年に一 度行くか行かないかという他の宝飾に比べても負担がなく売上がFAXで来るのはまるで自動販売機の如く売 上が作れるという魅力的な商品であったことは事実です。
それに加え、ブライダル情報誌のゼクシィが毎月発行されることで小売店は大きな宣伝の場があるというメリットがありました。在庫はサンプルで少ない投資額から商売ができる 為、誰でもノウハウがあれば独立できる商売でもあったと思います。
しかし、こんな美味しい商品でも今ではIJTであまりブライダルジュエリーを展開する会社の出展が少なく なったのは売上がそれだけ減少しているということの現れです。
多くのセレクトショップはブランド数を20〜30ブランド揃えてゼクシィの広告を載せるだけで月の売上が1,000万円以上作れたこともあるでしょう。それは店長となる責任者の育成が1年半〜2年程度で輩出ができ、スタッフも女性中心の若いスタッフで運営が可能であることも起因していると感じています。
しかし現在では、ゼクシィの広告よりもWEB広告に変わりメーカーがWEBに投資ができる会社であれ ば集客もできるでしょうが、そのほとんどが自動販売機の仕組みしか考えていなかったメーカーからすれば費用も投資ができない場合や知識がない状況であれば、かなりの苦戦を強いられているのではないでしょうか。そして見切りをつけたメーカーは撤退やM&Aなどを選ばざるを得ない状況になってきています。
メーカーもカタログやWEB広告、メンテナンスまで考えていくと売上が下がった時に会社を維持するのも大変なことでしょう。それに永久保証をつけていると販売する時には強いセールストークになるとは思いますが、メンテナンスを維持するにはかなりのコスト高になると思います。私も卸をやめると決めてから7年、買っていただいた金額で買い戻す資金や労力は非常に険しい道のりでした。自店の店舗が売上を作れれば大丈夫だと思うのですが、卸しかない会社は衰退の道に入っていると感じています。買い戻せない、そして広告費が出ないとなれば、小売店からしてみれば売れないサンプルが店頭に並んでいるだけにしかすぎません。
小売店の立場で言えば、自社ブラ ンドに切り替えていかなければ今後難しくなっていくのが目に見えています。私は7年前から自社に切り替えることにより北海道、新潟、福山、宮崎とこのコロナ禍にも関わらず出店の道を選びました。今は利益が上がっている会社にとってみれば最大の出店のチャンスであるといっていい時期でしょう。
撤退や閉店が日本全国多い中、賃貸物件は好条件で借りられるし、滅多に出てこない場所までが貸店舗に出されています。私はこの1年間に8店舗の出店を予定し、日本コンプリートを1年くらいで実行していきたいと考えています。ブライダルジュエリーの卸をしている会社やセレク トをしている会社は「今」変化をしなければいけないのです。
■第5回「ブライダルの卸の末」 ■2021年10月1日 金曜日 11時52分39秒

9月に入り、コロナウイルス感染者数が急激に減少し、 終息とは言えないまでも緊急事態宣言が解除されてきています。
宝飾業界は非常に厳しい中、ブライダルジュエリーだけがなんとか数字を作ることができているのが現状ではないでしょうか。小売業でブライダルにシフトした会社はこれまでが本当にいい時代であっ たと言えるでしょう。コロナ禍の中で一番影響を受けなかったからです。
しかし、近年、IJT等の展示会でブライダルジュエリーのブースが目に留まらなくなったように感じませんか?
ブライダルジュエリーの卸は基本、「各エリア都道府県に1店舗ずつ」としながらセレクトショップに卸を営んでいました。私も、ブランドを立ち上げてはIJTなどの展示会に出展をして全国に卸をしていました。今から、15年ほど前はIJTもブライダルジュエリーのブランドが軒並み出店しており、全盛期 だったことが懐かしく感じられます。私の場合は、もともと小売り業からスタートした会社でしたので、やはり卸業は難しく感じ、自店での出店を繰り返していく内に気づけば50店舗を超える会社になりました。
しかし、一度卸をした商品はサンプルであり卸先がある以上、継続しなければいけないという義務が発生します。ブライダルジュエリーの卸はエリア独占という確固たるセールストークがある故に営業という入り口は非常に簡単になっていて、営業にも年に一 度行くか行かないかという他の宝飾に比べても負担がなく売上がFAXで来るのはまるで自動販売機の如く売 上が作れるという魅力的な商品であったことは事実です。
それに加え、ブライダル情報誌のゼクシィが毎月発行されることで小売店は大きな宣伝の場があるというメリットがありました。在庫はサンプルで少ない投資額から商売ができる 為、誰でもノウハウがあれば独立できる商売でもあったと思います。
しかし、こんな美味しい商品でも今ではIJTであまりブライダルジュエリーを展開する会社の出展が少なく なったのは売上がそれだけ減少しているということの現れです。
多くのセレクトショップはブランド数を20〜30ブランド揃えてゼクシィの広告を載せるだけで月の売上が1,000万円以上作れたこともあるでしょう。それは店長となる責任者の育成が1年半〜2年程度で輩出ができ、スタッフも女性中心の若いスタッフで運営が可能であることも起因していると感じています。
しかし現在では、ゼクシィの広告よりもWEB広告に変わりメーカーがWEBに投資ができる会社であれ ば集客もできるでしょうが、そのほとんどが自動販売機の仕組みしか考えていなかったメーカーからすれば費用も投資ができない場合や知識がない状況であれば、かなりの苦戦を強いられているのではないでしょうか。そして見切りをつけたメーカーは撤退やM&Aなどを選ばざるを得ない状況になってきています。
メーカーもカタログやWEB広告、メンテナンスまで考えていくと売上が下がった時に会社を維持するのも大変なことでしょう。それに永久保証をつけていると販売する時には強いセールストークになるとは思いますが、メンテナンスを維持するにはかなりのコスト高になると思います。私も卸をやめると決めてから7年、買っていただいた金額で買い戻す資金や労力は非常に険しい道のりでした。自店の店舗が売上を作れれば大丈夫だと思うのですが、卸しかない会社は衰退の道に入っていると感じています。買い戻せない、そして広告費が出ないとなれば、小売店からしてみれば売れないサンプルが店頭に並んでいるだけにしかすぎません。
小売店の立場で言えば、自社ブラ ンドに切り替えていかなければ今後難しくなっていくのが目に見えています。私は7年前から自社に切り替えることにより北海道、新潟、福山、宮崎とこのコロナ禍にも関わらず出店の道を選びました。今は利益が上がっている会社にとってみれば最大の出店のチャンスであるといっていい時期でしょう。
撤退や閉店が日本全国多い中、賃貸物件は好条件で借りられるし、滅多に出てこない場所までが貸店舗に出されています。私はこの1年間に8店舗の出店を予定し、日本コンプリートを1年くらいで実行していきたいと考えています。ブライダルジュエリーの卸をしている会社やセレク トをしている会社は「今」変化をしなければいけないのです。
■■ 第4回 「攻撃が最大の防御なり」 ■2021年9月1日 水曜日 10時50分6秒

急激にコロナウィルス感染者数が増加する中、やはり甲府の「ジャパンジュエリーフェア 2021」も延期が決まり、代替日程が決まらない中、今後このような展示会もどんどん開催できなくなるのではないかと感じています。
出展業者の立場からしてみれば、出展にかかわる経費は通常通りにかかり、予定にも穴が空いてしまった上に売上も作れないといった二重三重の苦しみがでています。
 このご時世、展示会を開催している会社はもちろんありますが、毎回がギャンブルのようでなかなか黒字になっていない現状があります。展示会を開催し、どっぷりと展示会型になっている会社はどんどん弱体化していき、それに伴い商品も資金力がなければ、新しい商品開発もできなくなってくるでしょう。 小売店の仕入れもない中、トンネルの先が見えないという状況が現状でしょう。
 今は、コロナウィルスの助成金があるからなんとかやりくりできているかもしれませんが、この助成金の制度がなくなれば止む無く倒産や廃業が増えていくでしょう。
小売業の立場から見ると現在は、甲府のジャパンジュエリーフェアやIJTが開催されなければ色々な情報が途絶えてしまい、今までの取引先のセールスから情報を聞くことくらいしかできなくなってしまいます。小売業もコロナウィルスの助成金がなくなれば同様に 倒産・廃業に追いこまれてしまいます。
今はただ、マンネリになってしまっている展示会を続けて衰退していくしかないのでしょうか。
現在、御徒町はコロナウィルスの影響で人通りも閑散としています。コロナウィルスが猛威を振るう前にはクリスマスに向けての商品作りで忙しくしている様子が伺えましたが、今年はその動きも見えてきていません。
 それは百貨店の1階のジュエリーブランドが苦戦している話をよく聞くことを考えれば、当然と言えば当然なのでしょう。
今はコロナウィルスを理由に守りに入っている会社が大半でしょう。しかし私は、「攻撃は最大の防御なり」と経営方針を固めることにしました。
先日開催されたオリンピックで野球やサッカーなどのスポーツをテレビで観戦していると、いくら守りを固めても味方が得点をしなければ勝つことはできません。すなわち攻める気持ちを強く持ち、戦う姿勢を見せなければ勝つことはできないということでしょう。
 これはこの業界も同様であると考えます。

「市場がどのような商品やサービスを求めているのか?」

顧客のニーズを探るためのマーケティングをしっかりと行い、自社の価値を極めていくことが必要であり、まさに企業経営も「攻撃が最大の防御」いっても過言ではないのです。先日、男性雑誌LEONに、今まで商品開発してきたキャラクター(PAC-MAN、Ted、 SNOOPY)で、20万〜100万円くらいの商品と喜平の商品等を8Pのブックインブックに載せて広告をしました。そうすると、全国から富裕層のお客様から電話が鳴りやまない状態になり、このコロナ禍であっても富裕層は不景気知らずだということがわかりました。
百貨店の外商も今は動けない時代だからこそ、弊社では新規顧客の獲得につながったと考えています。また、アップルウォッチケースのメーカーであるゴールデンコンセプトの協力で、今話題のYouTuberのラファエル氏をお店に招き動画を撮影 、その動画を YouTubeに配信していただく機会がありました。
その動画は再生回数が63万回という大成功となり、その効果もあって1カ月に200本以上の売上を達成しました。
私は年内にあと2店舗、来年も3 店舗出店をしていきながら、今のコロナウィルスに勝つ術を見つけていきます。

■■ 第3回「株式会社ジュホウ木村社長へ」 ■2021年7月30日 金曜日 12時40分27秒

私は以前からこの業界新聞の「木村さんのひとりごと」を拝見させていただいています。メーカーからこの業界を見て感じる事をコラムに連載されていて、小売店の立場から見ても納得する事ばかりです。 やはり小売りの立場からしても好き好んで展示会を開催している訳ではなく、この業界の行きつく果てが “展示会頼り”になっているのだと思います。 前回の木村社長の「展示会依存型のジュエリー産業」の中に、メーカーの経費負担の内容が書かれていました。確かに、考えれば当然の事だと思いますが、小売店が負担をしてくれないのを見込んで上代に経費分をプラスしている事は間違いない事実ですし、 値引きや掛け率を気にする小売店を見てさらに上代に反映している事も見てとれます。
よくIJT等で「参考上代」と言われているプライスがありますが、そのプライスを見ても本当に参考にできないように感じます。ぼったくりと言われても仕方ない価格と感じざるを得ません。
その悪循環が20年くらい続いているので、展示会依存型になるのも仕方がないのかと思います。顧客は高年齢になって販売するアイテムさえも見つからない状態にすらなっています。中にはローンが組めない程の重ね売りをしていたり、自己破産寸前までクレジット会社に交渉して販売している状況の人もいます。私は何がしたいのか疑問に思います。 メーカーは小売店の数字が読みにくくなると、海外のインフルエンサーが小売りをしているため、国内市場の小売畑はやせ細ってきているように感じます。
私が御徒町に宝飾店を出店する前に一番悩んだ事は、「綺麗な商品を探す事」でした。「綺麗な商品を探す事」は難しく、IJTでも隅から隅まで探して見ても目に留まる商品が少なく、自社で開発しようとしても腕のいい技術者のいる会社が少ないため、とても悩んだ経験があります。「展示会」という悪循環を作り依存せざるを得ない、言わば麻薬のような状 態を長く続ける事により、良い顧客や良い販売員そして良い技術者までもが業界から離れていったのではないかと思ってしまいます。
私の会社はブライダルジュエリーのウエイトも大きいもののコロナの影響は少なかったのですが、ブライダルジュエリーも伸び続ける事が今後は期待できないと考えています。 ビジュピコ上野御徒町本店をオープンして2年が経ち、当初のコンセプト通り「いいものを適正価格で販売する。」という事を掲げて運営をしてきました(ここでの適正価格というのは、人それぞれの価値感によって異なるかと思うのですが、私は時計業界に合わせて利益は30〜35%しかいただいていないです)。オープン当初は周りのお店が50%OFF、70%OFFで販売をされていたので値引きのない弊社は苦戦しましたが、お客様もそのあたりの事は察して、上代の高いお店や値引きが当たり前のお店が信用できるのかを見ているので、弊社にも顧客が付き始めました。
私が一番力を入れたのが、宝飾店にとって当たり前のダイヤモンド1ct以上の商品を数多く揃える事でした。SI2やI1とかではなく、高品質なVSアップやトリプルエクセレントで揃え、1ctから5ctの製品を200点以上作りました。
ダイヤモンドは委託というのがこの業界では普通だと思うのですが、 お客様はルースだけでは何も想像ができず売り逃しが多かったため、それを製品にすることで購入につながっていきました。また、周りのお店が展示会型なら、店頭型に変えると競争相手が少なくなるように感じるのと同様に、メーカーも仕入れてくれる商品を作る方が競争相手は少なく済むでしょう。弊社としては、展示会型が多くなればなるほど自社が強くなる方法を、これからも考えていくばかりです。
ジュホウの木村社長が長い間同事をコラムで伝え続けているのは、わかっているけれど変えられない経営者が多いからではないでしょうか。正しい事を言えばアウトローとか生意気だとか言われると思いますが、こういう人がジュエリー協会の上に立ってほしいと思います。
■■ 第2回「展示会を継続するとブラック化は進む」 ■2021年7月2日 金曜日 13時55分18秒

コロナ感染者数が減ってくると御徒町では展示会の話題が多くなってきています。「高額商品が売れた」とか、「集客が少なかった」とまちまちな反応ではありますが話題にのぼります。
ただ、コロナが流行り始める10数年も前から、展示会は「もう採算が取れない」とか「お客様が変わらない」とか、ネガティブな評論を言い続けているので、本当は大きな変化もないのかもしれません。
展示会を年に1回しか開催していない私にとってはあまりわからないですが、決して楽な仕事ではないのだということは理解しています。現状、メーカーは、小売店が仕入れをしていないため、新作を作ろうとあまりせず売れ筋の補充をするぐらいになっているように感じます。
小売店は展示会に協力してもらうために、お付き合い程度に定番商品を揃えるくらいの仕入れしか起こさない上に、展示会の商品や価格チェックはあまりせず、掛け率の事ばかりを気にしています。
その結果、上代はあまりにも高くなり、見せかけだけの上代になります。お客様もその見せかけの上代をわかった上で、楽しみながら価格交渉に挑んでいるようにしか見えません。そういった流通になっているのにも関わらず、小売店もメーカーも信用や創業何年とかばかりを謳い、価格の部分以外を誇張しているようにも感じ、本当にこの先を考えると、継続できる事業なのかと頭を悩ませます。
3日間程度の短い展示会だったとしても、用意する時間や後処理に時間を取られて非常に少ない売上数字となれば、何をやっているのかわからなくなり、そのしわ寄せはその会社で働いている社員の待遇に直接影響してしまいます。宝飾業界はもともと給料が高くないと言われている業界なのに、これ以上下がれば業界を去る人も多くなり、この業界に魅力を感じて入ってくる人も少なくなるのではないかと考えてしまいます。
世間では、「働き方改革」などと言われているのに、実はサービス残業だらけで低所得になれば、この人手不足の中では求人が難しくなります。日本の平均所得が480万円くらいなら、富裕層を相手に販売をしているこの業界であれば、年収1,000万円を超えるセールスマンが多くてもおかしくないはずです。
昨今のニュースで富裕層が高額な時計や車などをたくさん買っている事が話題になっていますが、宝飾業界にはその反響が少ないように感じます。今までの宝飾業界は中間層をターゲットにしてきたこともあり、富裕層向けの商品提案(いわゆる資産価値)に目を向けなかった結果が一因であると私は考えています。
男性の時計というものは、以前は100万円以下のステンレスモデルが多く販売されていたと思うのですが、最近ではゴールドモデルも日常的に着けられている方も多くなり500万円を超える時計がどんどん売れています。一部のブランドに限りますが、プレミアが付いた高額な値段なのに尚、高値が付く状況となっています。こちらは30〜40歳代の富裕層からの問い合わせが多くなっており、メンズジュエリーもシルバー商品からゴールドジュエリーに変化していると思います。地金価格の高騰にもかかわらず、毎月喜平を求めて来店してくる男性のお客様が増えています。
また最近では、パールネックレスを購入する男性のお客様が日に日に増え始め、今までに考えられないことが起こっています。私は、展示会が全て悪いとは思っていませんが、展示会だらけの悪循環をなくさない限り社員も会社も幸せになれないと強く思います。店頭販売に切り替えるにはまず「商品を仕入れる」というリスクを持たなければ始まらないのですが、何を仕入れしてよいかわからない方は、ぜひ弊社の御徒町本店に来店すれば、少なくとも少しのヒントを得ら
れるのではないかと思います。
私が目指すホールセールの事業は、メーカーにはできないことを可能にするホールセール事業を目指しており、来年2022年のIJTに向け日々考え、動いています。
■第1回 〜御徒町編〜 「御徒町から見て」 ■2021年6月1日 火曜日 11時25分31秒

以前、この時計美術宝飾新聞にコラム(「石部イズム」)を掲載してから早15年の歳月が過ぎ、私もジュエリー業界入りして30年を迎えました。
スタートは徳島の畑の真ん中から、今では全国46店舗を構える会社へと変化していきました。
現在は、ホームグラウンドを徳島から東京に変えて約10年が経ち、御徒町に本社 を移して4年目を迎えました。この20年はゼクシィに始まり、ブライダル業界が繁栄させてきたブームにも上手く乗れたように思います。
ブライダルジュエリーの商圏は、東京エリアの中では何といっても銀座、続いて表参道、新宿と主要なエリアで競合他社が多い中、御徒町はというと駅前の老舗店が中心となり平日はカップルが少ないのに比べて、土日にはどのお店も満員状態です。
たまたま物件も見つかり、出店ができる運びとなった御徒町という町は、いわゆる“穴”だということがわかりました。そして連日、御徒町に通う事で、それまでの時折訪れた際に感じていた町の印象とは、かなり変わっていることに気づきました。
それは、卸やメーカーの商売の形が段々となくなりつつあることです。小売店が仕入れをしなくなったことや、小売店の催事応援でも採算が取れないことも要因の一つですが、一番大きな要因は国際宝飾展(IJT)等の展示会にユーザーを動員して、小売りをしていることは言うまでもなく、出展している卸・メーカーも背に腹は代えられない状況で小売販売をしているからでしょう。
また、近年ではアジアのインフルエンサーによるライブ販売が、御徒町でも頻繫に開催されているのを目にします。小売店で重ね売りをしてきたローンが通らないお客様より、新規のお客様ばかりのライブ販売の方に魅力を感じるのは言うまでもないことです。そのため平日はライブ販売、土日はブライダルジュエリーと町は変わってきています。
さらに、卸・メーカー業は小売店にわからないようにファミリーセールなどを行っていますので、今までの仕組みは壊れたも同然です。IJT等の展示会でユーザーがもらう名刺は御徒町5丁目界隈の会社の名刺と甲府の会社の名刺がほとんどだからです。
そんな中、ジュエリーの価格の不透明な部分に気づいた富裕層が、御徒町にジュエリーを買い求めに来ます。 私も2年前にたまたま御徒町駅前の新築ビルが出来るとわかり、富裕層ビジネスの商売を展開することになりました。
そこでびっくりしたのが2カラット、3 カラット、中には10カラットまでも探しにくるユーザーがこんなにもたくさんいるということです。この御徒町という 町は、やはりIJT等の展示会の恩恵を大いに受けていることに気づきました。
ネットやSNSによって情報がいち早く伝わるこの時代に、原価に7倍、8倍と値付けをするような既存のユーザー展示会が果たして残るのか?という疑問だけが残ります。百貨店のジュエリービジネスもあまり変わらないよに感じます。
小売店が仕入れをしなくなり、ユー ザーに重ね売りをして年に何回も展示会を繰り返している会社の先は見えないでしょう。
このコロナ禍で特に展示会は逆風の中、招待するお客様の年齢層も低くはありません。ジュエリー協会もジュエリーコーディネーターの資格の取得を推進していますが、実施されている展示会とでは、ちぐはぐな感じしか伝わってきません。
IJT等で展示されている商品も企画商品をたくさん作っているのはわかりますが、高級品を作っているメーカーが今は非常に少なくなっています。 時計業界も一部のブランドだけが業績を上げ、ほとんどのブランドでは売上が減少しているように感じます。 そこから2点の考えが浮かび ました。
1点目、ジュエリーは中途半端な物ではなく高級品を揃えるお店が勝ち組となる雰囲気ではないか。2点目はメンズジュエリーがあまりにも少ないこと。この2点が今のマーケットにはみつかりません。この2点を中心に商品作りをしていかなければならないと思い、新たな分野の開発に踏み込みました。
以前のブライダルジュエリーブームのように次にくるのは何か?という答えに、この2つは外せないでしょう。(絵・T・B・T代表取締役社長 石部高史)
https://bijoupiko.co.jp/


Copyright (C) 2021 WEB