渋谷で個展をやった。漢字の個展だが、ただ漢字を並べたってポンと辞書を置くようなもので、面白くも何ともない。そこで、こんな漢字を創って並べた。 そこで漢字辞書をひっぱり出し、漢字での世界での女と男の力学を調べた。驚きました。ア然としました。部首の中に「男へん」がないのです。つまり「男変」の漢字は一つもない。そういうことです。「女へん」は200字くらいあります。ひとつくらいないのか。「嬲」という漢字があるじゃないか、と思ったのですが「嫐」は載っていました。とすると「嬲」はどうしたんだ。個展で楽しいイラストを描いてくれた佐川能智くんが「日本で創られた国字というものがあるらしいですよ」とひそかに教えてくれた。よし、わかった。こうなりゃこっちにも意地がある。「女へん」を全部「男へん」に変えて漢字を創ってやろう。象形文字ならぬ「たかの式性形文字」だ。これで男の復権をかけようなどと大仰なことではなく、まあ溜飲を下げるか程度でやりました。 個展では読み方と意味をいっしょに添えていました。みなさん、それぞれどう思うかな?ということを楽しみに。面白い。そう言う者もいれば、くだらないわ、とワインをがぶがぶ飲む者もいた。これTシャツにしようよ、と悪ノリする者、オレ沖縄のゲイバーに持っていく、とはしゃぐ者。みなさんにそこそこ楽しんでもらいました。ま、女が強かろうが、男が弱かろうと、楽しければいいか。 ■関連記事 「世の中、みんな『アイコ』でしょ。」 高野 耕一 |