佐藤英昭の「特許の哲学」
2021/07/03
■ 『特許の哲学』 其の60
■ 『特許の哲学』 其の60
国際特許出願件数、中国が2年連続世界1位
世界知的所有権機関(WIPO)は、特許協力条約(PCT)に基づく2020年の国際特許出願件数を発表した。
それによると、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中にありながらも、2020年はPCT国際特許出願件数が過去最高に達したと明らかにした。
世界のGDPが3.5%減少する中、国際特許出願は4%増加し、過去最高の275,900件となった。
国別では、中国の出願件数が68,720件となり、昨年に続き米国(59,230件)を抜いて世界1位となった。
技術分野別では、コンピュータ技術が24,332件で全体の9.2%を占め最多となった。このほか、デジタルコミュニケーション(22,068件)、医療技術(17,493件)、電気機械(17,363件)が上位になった。(特許業務法人共生国際特許事務所所長)
国際特許出願件数、中国が2年連続世界1位
世界知的所有権機関(WIPO)は、特許協力条約(PCT)に基づく2020年の国際特許出願件数を発表した。
それによると、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中にありながらも、2020年はPCT国際特許出願件数が過去最高に達したと明らかにした。
世界のGDPが3.5%減少する中、国際特許出願は4%増加し、過去最高の275,900件となった。
国別では、中国の出願件数が68,720件となり、昨年に続き米国(59,230件)を抜いて世界1位となった。
技術分野別では、コンピュータ技術が24,332件で全体の9.2%を占め最多となった。このほか、デジタルコミュニケーション(22,068件)、医療技術(17,493件)、電気機械(17,363件)が上位になった。(特許業務法人共生国際特許事務所所長)
2021/04/30
■ 特許の哲学 其の59
特許庁関係手続における 押印の見直しについて
日本の規制改革の一環として行われている「書類への認印の押印廃止」に伴い、2020年末に特許関係の法令も改正されることとなった。
日本では、個人及び法人がそれぞれ行政庁に印鑑を登録する制度があり、 その登録した印鑑を「実印」といい(登録証明書が発行される)、それ以外の印鑑を「認印」というが、これまでの特許行政においては基本的には「認印」 の押印で事足りていた。
ところが、今般の「書類への認印の押印廃止」に伴い、特許庁では手続による結果の重大性により「実印の押印+印 鑑登録証明書」を要する手続きと、「印鑑の押印不要」の手続きとに分けられた。それにより、多くの手続きにおいては「認印の押印廃止」されたが、これまで不要であった「実印の押印+印鑑登録証明書」を要する手続きが新たに規定された(権利移転等)。
現在のところ、印鑑証明書の提出は 最初の1回のみで良い。なお、日本国において印鑑登録できない外国人と外国法人については、従前同様に署名による手続きが可能である。 (特許業務法人共生国際特許事務所所長)
2021/03/30
特許の哲学 其の58
無形資産を一括担保に融資実施
金融庁では、中小企業が持つ知的財産権・独自技術・ノウハウ等の無形資産を含む「事業全体の付加価値」を一括担保にできる新たな融資の仕組みを構 築する。
これまでも特許権などの無形資産に個別に担保権を設定することはできたが、価値判断が難しい等の問題で浸透しておらず、現状では「不動産」等に偏っ た融資がされている。将来性がある企業であっても担保として差し入れる不動産がないと、コロナ禍で一時的に業績が悪化した場合事業の継続が困難になる恐れがある。
この新たな融資の仕組みにより、コロナ禍の影響を受けた中小企業に対して資金供給の手段を広げる狙いもある。
金融機関にとっても「事業全体の付加価値」を担保にできれば、融資先を再生させることが可能となり、自らの利益となるだけでなく、不動産を保有していなくとも強力な特許権・ノウハウ等を保有する中小企業の事業発展につながることが期待される。
(特許業務法人共生国際特許事務所所長)
2021/03/01
特許の哲学 其の57
口頭審理のオンライン化
特許庁では、新型コロナウイルス感染症拡大やテレワーク普及の影響を受け、 口頭審理をオンライン化する方針だ。
現行法では、次のように定められている(特許法第145条第1項、第203条)。
@
無効審判等の審理は原則「口頭審理」により行われる
A
A期日に審判長が定めた場所へ出頭する必要があ
る
B
B正当な理由がないのに出頭しないときは、10万円以下の過料に処される。しかしながら、口頭審理の開催によって都道府県を越えての人の移動及び人と人との接触が生じ、感染症拡大につながる懸念がある。この懸念から、緊急事態宣言下では口頭審理の開催が見送られ、宣言解除後も必要な事件に限り感染拡大予防策を講じた上で開催している。
口頭審理は、書面では十分に言い尽くせない当事者の主張を、審判長の審尋によって引き出すことにより、争点及び技術内容を正確に把握することにも役立つ。
この口頭審理をオンライン化することで出頭の必要がなくなり、感染症拡大への対策になるだけでなく、当事者への負担が大幅に軽減されることが期待される。
(特許業務法人共生国際特許事務所所長)
2021/02/03
特許の哲学 其の56
イギリスのEU離脱に伴う知的財産権への影響
2020年12月31日にイギリスのEU離脱後の移行期間が終了し、イギリスはEUの知的財産制度から離脱した(離脱協定第126条)。イギリスのEU離脱による特許・商標・意匠への影響は以下の通り。
《特許》 欧州特許庁(EPO)はEUの機関ではないため、イギリスのEU離脱は現在の欧州特許制度には影響を与えない。
《商標》 2021年1月1日時点で登録済のEU商標:
イギリスにおいては有効ではなくなるが、同等のイギリス商標が付与される。
2021年1月1日時点で出願済のEU商標(未登録):
出願人は、2021年1月1日の後9か月以内に同等のイギリス商標登録出願ができ、係属中の先の出願日を維持する。
《意匠》 2021年1月1日時点で登録済のEU意匠:
イギリスにおいては有効ではなくなるが、同等のイギリスの権利として保護される。
2021年1月1日時点で出願済のEU意匠(未登録):
出願人は、2021年1月1日の後9か月以内に同等のイギリス意匠登録出願ができ、係属中の先の出願日を維持する。(特許業務法人共生国際特許事務所所長)
2021/02/03
『特許の哲学』 其の55
模倣品の輸入規制対象厳格化
近年、インターネットの世界的な普及と電子商取引の発展に伴い、国内への模倣品の流入被害が急速に拡大している。
現行の商標法では、「業として」国内事業者が模倣品の輸入等を行った場合に、商標権侵害となる(商標法第2条第3項)。
しかしながら、「個人使用の目的」で輸入された模倣品については、現行の商標法では権利侵害を問えないことから、個人で輸入された模倣品については国内への流入を阻止できておらず、早急な対策が求められている。
このような状況に鑑み、たとえ「個人使用の目的」であったとしても、輸入目的に関係なく模倣品の流入を阻止できるよう、特許庁では商標法、財務省では関税法の改正を検討している。この改正により、個人使用の目的で輸入された物品であっても、商標権を侵害していると判断された場合は税関での差し止め対象となることが期待される。
(特許業務法人共生国際特許事務所所長)
2020/12/01
特許の哲学 其の54
意匠登録出願手続の簡素化
令和3年4月1日より改正意匠法が 施行され、より意匠登録出願の手続が 簡素化されることが期待される。主な 施行内容は次の3つである。 @複数意匠一括出願の導入: (現行)意匠ごとに願書を作成する必 要がある (改正)複数の意匠をまとめた願書の 作成も可能となる A物品区分の扱いの見直し: (現行)願書に記載すべき物品の区分 を「物品区分表」により定める (改正)「物品区分表」を廃止し、物品 の区分に係る一般的な基準を経済産 業省令が新たに設ける B手続救済規定の拡充: (現行)指定期間が経過した後や優先 期間が経過した後の出願等の救済が 認められていない (改正)指定期間が経過した後や優先 期間が経過した後の出願等の救済を 認める (特許業務法人共生国際特許事務所所長)
2020/10/31
特許の哲学 其の53
「営業秘密」の保護と管理
企業が保有する技術や情報等の資産は、オープン化した上で特許権等の知的財産に係る権利を取得し活用する方法と、クローズ化して秘密として管理し活用する方法がある。
企業は、いわゆるオープン・アンド・クローズ戦略として、経営戦略上どのような方法・組合せを採用するか適切な判断が求められている。
秘密として管理している情報、いわゆる「営業秘密」については、不正競争防止法で「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう」と定義され、保護されている(第2条第6項)。
この営業秘密に係る不正行為(窃取等の不正の手段によって営業秘密を取得し、自ら使用し、若しくは第三者に開示する行為等)をした場合、損害賠償等の責任が生じるが、営業秘密として保護されるためには以下3つの要件を満たすことが必要である。
@秘密管理性:秘密として管理されている、A有用性:有用な営業上又は技術上の情報である、B非公知性:公然と知られていない。(特許業務法人共生国際特許事務所所長)
2020/10/07
『特許の哲学』 其の52
「秘密特許制度」の導入を検討
政府が「秘密特許」と呼ばれる制度の導入を検討している。
原則、特許出願は、出願日から1年6ヶ月経過後に公開される(特許法第4条)。
これは新しい技術を公開した者に、その公開の代償として独占権を与えようとする特許制度の目的を達成するための制度である。
然しながら、海外への技術の流失を防ぐ目的で、軍事転用が可能な技術については、特許を出願しても、その情報は非公開とする法改正が検討されている。
今日では、米国や欧州諸国等の殆どの先進国が「秘密特許制度」を導入している。
日本もかって「秘密特許制度」を導入しており、制度が存続していた1899年〜1948年までの間に、軍事技術を中心に1571件の秘密特許が登録されていた。
第二次世界大戦後の1948年に特許法が改正され、「秘密特許制度」は廃止された。
それから約70年が経過して、安全保障上重要な先端技術情報については、海外への流失が懸念されていることから、2021年の通常国会で特許法を改正し、「秘密特許制度」を再度導入することが検討されている。
(特許業務法人共生国際特許事務所所長)
2020/09/02
特許の哲学 其の51
特許権は、多数の者によって時や場所を問わず侵害されるおそれがあることから、侵害が容易である一方、その発見や防止は容易ではないという性質がある。
特に、製造方法等に関する特許については、その侵害の有無等を書類や製造機械や製品といった検証物を調べるだけで判断することが容易ではなく、特許権侵害の有無等を裁判官が判断することは容易ではない。
そこで、裁判所が選定した中立な立場の専門家が、被疑侵害者のオフィスや工場などに立ち入り、特許権侵害の立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出する制度(査証制度)が令和2年10月1日より施行されることとなった(特許法第105条の2(新設))。これにより、権利者が入手できなかった証拠が入手しやすくなり、侵害の立証が容易になると考えられる。
査証の要件は以下の通りである。@必要性:侵害行為の立証に必要A侵害の蓋然性:特許権等の侵害の可能性が高いB補充性:他の手段では証拠収集が十分に集まらないC相当性:相手方の負担が過度にならない。
(特許業務法人共生国際特許事務所所長)