ジャンケンポンよ「アイコ」でしょ。女も男も「アイコ」でしょ。生命と生命は「アイコ」でしょ。

日本人はすばらしい感性を持っています。そのひとつが「バランス感覚」です。
勝と敗だけでなく、表と裏だけでなく、右と左だけでなく、そう、ジャンケンポンのあの「アイコ」でしょ感覚。これからの時代のキーワードになるかも知れませんね。



新年早々、かた苦しい話題だが、さあこれから新しい時代を造るぞ、という決意のスプリングボードとしてもう少しおつき合い願いたい。

「たかの式性形文字」の言わんとする所。

わが空手道の師であり人生の師でもある次呂久英樹老師は言う。世の中、陰と陽である。それぞれの役割りがあり、そのバランスこそが重要である、と。女性は陰であり、男性は陽である。わかりやすく例えるなら、大地にしっかり構える根が女性であり陰であって、目に見える幹とか枝とか葉が男性であり陽である。なるほどとうなずくのだ。女性の生産能力には、ただただ男たちは頭を下げるしかあるまい、と思う。女性はエライ。そう決めこみ、だから男もがんばるのだよ、と言いたいのである。
女も男も「アイコ」でしょ、としておきたい。その天から授かったうるわしい違いをこそ、大切に大切にしたいではないか。違うから補い合える。違うから愛し合える。違うから尊敬し合ったり、許し合ったりする。

まず、その眩しいほどの違いをしっかり認め合うことが大切なんだ、と考える。女性の社会進出に異論を唱えるつもりは毛頭ない。むしろ、歓迎する。だが、男性を敵視する思想や行為には大いなる疑問を抱く。勝敗の論理ではなく共存の論理で世の中を形成したい。神代の時代から、女は強いのである。昔、ある芥川賞作家とこんな話をした。例えば戦争に出かけて行っても女のほうが強いのではないか。

では、なんで男が行くのか。二つ考えられる。一つは、男ががんばりたいのさ。がんばることで存在を証明したいのだ。なるほど、で、二つめは。これが真の理由。種の保存という本能だ。女が一万人戦争に行き、男が一万人行かなかったとする。女が戦死して帰ってきたのが一人とすると、一年過って子供は一人しか産まれない。双児は別にしてな。これでは国が滅びる。その通り。では、逆を考えよう。男が一人だけ帰ってきても、女が一万人いれば翌年子供は一万人産まれる。国は滅びない。ま、その帰ってきた男が幸か不幸かは次の機会に話そう。これは酒を飲みながらのタワゴトであり、単なる理論とお見逃がし頂きたい。ただ言わんとすることは理解のほどを。

女性は強い。それに、戦争などもっての他であり、「アイコ」でしょ、の思想のない「ジコチュウ」がひき起している最も愚かな行為だとの信念に揺るぎはない。それなのに、なぜか女が陽の部分、つまり社会の見える部分でも勝ちたがる。全部が全部とは申しません。立流な女性もたくさんおられる。しかし、都合のいい所で女性という武器を使う者もいる。セクハラって、あれ全部男が悪いのですか、と問いたくなる。声高に女性の権利を錯乱状態で叫ぶのを売り物に、テレビに出たりする方もいる。これは困る。男たちが怯えているではないか。この「たかの式性形文字」は、女性に敬意を表し、男性も女性も「アイコ」でしょ、でお互いを認め合い、仲良くいい時代を造りましょう、という願いをこめた文字とご理解いただきたい。世の中「バランス」の時代ではないですか。

本能と理性のバランスが崩れていないか。

本能を、生きぬく力とか、愛するカとか、そう思って頂きたい。つまり、命の重さである。理性を、教育とか知恵とか、そう思って頂きたい。できれば無理矢理解釈の幅を広げて技術まで包括してしまおう。虎やライオンや亀やミミズは、自殺をしない。さらに無駄な殺戮はしない。痛いものは痛いものとして学ぶ。さらに、相手が痛がることもわかる。幼児に沸騰するヤカンが熱いものでヤケドするよ、と言葉で教えるより、チョビッと触わらせて大声で泣かせる。幼児は全身全霊でヤカンの熱さを知る。最近はそんなことしませんか。この方法は実に見事に本能を磨く。これは一例であり、他にいろいろと本能を磨く方法があるが、もはやそれらのほとんどが見られない。

それとは逆に、ITを中心に技術は超高速で進んでいる。教育も知恵もそちらに向けて全速力で駆けるものだから、そこら中でバタバタ転んでいる。人間が持つ本来の動物的な本能や生命力が稀薄になったところへ、最進のマシンがドンと体当りしてくる。弱体化する本能に対し、ゆがんだ理性が喰らいつく。

アナログはもう古い。デジタルだ、とわめく。どうだろう。機械や道具はどんどん進歩しても、それはそれでよろしいが、その分だけ人間的な感情や本能を大切にしなければならないのだ、とも思う。

昨年のNHKの大河ドラマ「宮本武蔵」の中で、柳生石舟斎が武蔵に言った。戦いの最中に小鳥の声が聞こえたか、と。戦闘マシンになった武蔵に「人間になれ」と悟したのだ。

女も男も「アイコ」でしょ。命と命は「アイコ」でしょ。本年もよろしくお願い致します。


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